データの向こう側

2032年、広告代理店で働く田中ケンジ(32)は、AIアシスタント「MIA」に頼り切った日常を送っていた。新しいクライアント「コスモ食品」との初回ミーティングに向かうケンジ。MIAの完璧な事前分析に基づいて臨んだが、担当者の田村絵美子が提示したのは予想外の商品だった。
認知症向け栄養補助食品「家族の記憶」——しかもターゲットは高齢者ではなく、その家族。効果ではなく「何かしてあげたい」という気持ちに訴える商品企画に、MIAのデータベースは対応できない。
田村自身の母親も認知症であることを明かし、「データでは測れない部分への理解」を求められたケンジ。MIAの推奨とは異なる判断で案件を受けることに。
初めてAIの助言を聞き流した瞬間、ケンジとMIAの価値観の違いが浮き彫りになる。データの向こう側にある「人間の想い」に触れ始めた第一歩。
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