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ホストと女医は診察室で.32
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和希は確かに小さい頃はいつも聖夜の後を付いて回っていた。
しかし大人になった今もそのブラコンぶりが変わっていないのにはさすがに呆れる。
聖夜は昔から社交的で人気者で、周りには自然に人が集まるタイプだった。
一方和希は顔こそ聖夜とそっくりなのに、恥ずかしがり屋で口下手という、聖夜とは真逆のタイプだった。
大人になった今でこそ、本人なりに努力してある程度克服できてはいるだろうけれど、根本は変わっていないのだろう。
和希から見れば、何歳になっても聖夜が憧れの存在であることはある意味仕方ないのかもしれない。
それにしても、自分のところにはもう二度と来ないと言い切った慶子が、和希にはいい顔をしているのがどうにも許せなかった。
双子と間違えるほどよく似た顔。
しかし性格は正反対。
聖夜は和希には悪いけれど、男として自分の方が上であるという自信があった。
それなのに慶子は和希を選ぶのか…。
相手は実の弟だ。
慶子と和希がこのままうまくいって、結婚するかもしれないと考えると、聖夜はやり切れない思いになった。
聖夜はまさか自分がこんな気持ちになるなど全く想像していなかった。
そもそも、慶子と実際に顔をあわせたのはたったの五回だ。
そのうち二回は慶子の病院で患者として、残りの三回は聖夜のホストクラブで客とホストという関係だった。
三回のうち二回も夜をともにしたことは、聖夜の中でも例外中の例外であることは確かだった。
客とは店以外で会わない、寝ないことを信条としているのに、何故だか分からないけれど、慶子のことは自分の中で最初から特別だった。
聖夜の周りには常に女性がいて、そういう意味で不自由することはなかった。
しかし、特定の彼女を作ることはしなかった。
聖夜にとって一番大切なものは仕事だったから、どうしても女性は二の次になる。
女性はいつも自分を一番にしてほしい生き物だ。
だから彼女になったとたん、聖夜の仕事にも口出ししてくるだろう。
聖夜は自分の好きなように仕事がしたかったし、そうでなければ仕事をやる意味なんてないと思っていた。
そんな聖夜の気持ちになんの抵抗もなく入りこんできたのが慶子だった。
彼女は聖夜が今まで出会って来たどの女性とも違うタイプだった。
自分が慶子のことをそんな風に意識した覚えはないから、これはもう無意識に感じたことなのだろう。
しかも、その時点で聖夜には自覚がなかった。
慶子が聖夜の店に来た夜、医者とは違った顔を見せたあの日、聖夜は慶子のことを離したくないと強く思った。
しかし、自分の中でそれがどうしてなのかは分からずじまいだった。
そして、二回目の時も。
あんなに濃密に女性と愛し合ったことはなかった。
慶子のことが愛おしくて愛おしくて仕方がなかった。
そんな気持ちになることは聖夜にとっても初めてで、正直自分の気持ちにずいぶん戸惑った。
慶子と会った回数こそ数えるほどだが、何度も会えばいいというものではないということを初めて知った。
恋心というものは会えないときでも確実に育つのだと思い知らされた。
だがそんなことに気付いても、もう手遅れなのかもしれない。
慶子は和希を選んだのだ。
自分と同じ顔をした弟を…。
聖夜はあらためて仕事に生きようと思った。
しかし大人になった今もそのブラコンぶりが変わっていないのにはさすがに呆れる。
聖夜は昔から社交的で人気者で、周りには自然に人が集まるタイプだった。
一方和希は顔こそ聖夜とそっくりなのに、恥ずかしがり屋で口下手という、聖夜とは真逆のタイプだった。
大人になった今でこそ、本人なりに努力してある程度克服できてはいるだろうけれど、根本は変わっていないのだろう。
和希から見れば、何歳になっても聖夜が憧れの存在であることはある意味仕方ないのかもしれない。
それにしても、自分のところにはもう二度と来ないと言い切った慶子が、和希にはいい顔をしているのがどうにも許せなかった。
双子と間違えるほどよく似た顔。
しかし性格は正反対。
聖夜は和希には悪いけれど、男として自分の方が上であるという自信があった。
それなのに慶子は和希を選ぶのか…。
相手は実の弟だ。
慶子と和希がこのままうまくいって、結婚するかもしれないと考えると、聖夜はやり切れない思いになった。
聖夜はまさか自分がこんな気持ちになるなど全く想像していなかった。
そもそも、慶子と実際に顔をあわせたのはたったの五回だ。
そのうち二回は慶子の病院で患者として、残りの三回は聖夜のホストクラブで客とホストという関係だった。
三回のうち二回も夜をともにしたことは、聖夜の中でも例外中の例外であることは確かだった。
客とは店以外で会わない、寝ないことを信条としているのに、何故だか分からないけれど、慶子のことは自分の中で最初から特別だった。
聖夜の周りには常に女性がいて、そういう意味で不自由することはなかった。
しかし、特定の彼女を作ることはしなかった。
聖夜にとって一番大切なものは仕事だったから、どうしても女性は二の次になる。
女性はいつも自分を一番にしてほしい生き物だ。
だから彼女になったとたん、聖夜の仕事にも口出ししてくるだろう。
聖夜は自分の好きなように仕事がしたかったし、そうでなければ仕事をやる意味なんてないと思っていた。
そんな聖夜の気持ちになんの抵抗もなく入りこんできたのが慶子だった。
彼女は聖夜が今まで出会って来たどの女性とも違うタイプだった。
自分が慶子のことをそんな風に意識した覚えはないから、これはもう無意識に感じたことなのだろう。
しかも、その時点で聖夜には自覚がなかった。
慶子が聖夜の店に来た夜、医者とは違った顔を見せたあの日、聖夜は慶子のことを離したくないと強く思った。
しかし、自分の中でそれがどうしてなのかは分からずじまいだった。
そして、二回目の時も。
あんなに濃密に女性と愛し合ったことはなかった。
慶子のことが愛おしくて愛おしくて仕方がなかった。
そんな気持ちになることは聖夜にとっても初めてで、正直自分の気持ちにずいぶん戸惑った。
慶子と会った回数こそ数えるほどだが、何度も会えばいいというものではないということを初めて知った。
恋心というものは会えないときでも確実に育つのだと思い知らされた。
だがそんなことに気付いても、もう手遅れなのかもしれない。
慶子は和希を選んだのだ。
自分と同じ顔をした弟を…。
聖夜はあらためて仕事に生きようと思った。
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