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16話

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「ネーラ、護衛をお願いね」

「はい、セイラ様」

 ネーラは女性武官に採用されました。
 ネーラだけでなくエレン、マリ、メーナといった、一騎当千の女性戦士を採用することができました。
 彼女達は今迄の戦闘侍女とは一線を画した武芸の持ち主です。
 戦闘侍女が男性騎士相当の強さなら、彼女達は武芸で取立てられた騎士長や騎士隊長に相当する実力です。
 まあ、多くの騎士長と騎士隊長は、実力ではなく家柄で選ばれていますが。

「ではマリ。
 セイラの護衛は任せたぞ」

「はい、お任せください」

 アレキサンダー皇太子殿下も、四人の武芸は認めらています。
 信用信頼度では、クレア、ノエミ、ミレナの戦闘侍女には及ばないので、最側近の座は三人が占めていますが、戦闘力に関しては四人が突出しています。
 常に私の前を歩き、何かあれば誰であろうと問答無用で斬り捨てるように、皇太子殿下から厳しく命じられています。

 特に男性の接近を許さないようになりました。
 徐々に私を隔離しようとしています。
 まあ、そのための後宮ですし、そもそも王侯貴族の正室や側室は、幼少時以外は男性に接することは厳しく禁じられています。
 だからそんなモノだとも思うのですが、斬り捨て御免はやり過ぎです。

 緊急の報告もあるかもしれないのです。
 皇太子宮と皇太子後宮との連絡係もいます。
 色々な打ち合わせも必要なのですが、他の女性武官や侍女のいる場所でも、私が男性と会うことを極端に嫌います。

「殿下。
 この状態では非常時に困ります。
 殿下が信用信頼できる方と、武官や侍女のいる場で相談するくらいは、許していただきたいのです」

「駄目だ!
 絶対に駄目だ!
 それに、私がセイラに会わせていいと思える男はいない。
 どのような貴族士族であろうと、心から信用信頼しないのが皇族だ。
 男の生理は女性には理解できないだろう。
 激しい劣情で、女なら誰でもいいという時があるのだ。
 特にセイラのように魅力的な女性は、常に狙われているのだ。
 だから絶対の男とは会わさん」

 思っていた通りの返事です。
 これでは溺愛を超えて妄執妄愛です。
 ちょっと息苦しくなってしまいます。
 ある程度強く出ないと、この環境は改善されないでしょう。
 某侯爵を斬り殺した時の事を考えれば、言い方は注意しなければいけません。
 狂気に囚われて逆上してしまうかもしれません。

「殿下。
 ではもっと会いに来てください。
 それが無理なら、勉強するための魔術解説書を届けてください。
 このままでは幽閉です。
 殿下は私を愛してくださっているのですよね?
 私を罰するために幽閉しているわけではないのですよね?」
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