バベル 本の舟・塔の亡霊
●第7回ホラー・ミステリー小説大賞【奨励賞】
大洪水を生き延びた一握りの人々は、辺り一面を水で囲まれた塔の中に幽閉状態となった。食料の備蓄も尽きかけた時、そこにあったのは、洪水前に運び込まれた大量の書物。
何百年経過しても相変わらず水だらけの世界。塔内の民への物資供給は、食料も含めてほぼ全て「本」に頼っている状態だが、一般の民はそれを知らない。
ある日、煉瓦職人の子ワタルは、長老より直々に図書館の司書になることを命じられる。初めは戸惑うものの、本の主な用途は「舟」の材料だと思っていたワタルは、書物の持つ無限の可能性を知ることになる。
しかしそれは、嫉妬や陰謀が渦巻く世界への入り口でもあった。ワタルは、逆恨みから襲撃され重傷を負う。彼を襲った者は、老齢の長老の代理となった若き指導者ゲンヤから、極刑である「水没刑」に処せられてしまう。
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