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第二章

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「ちょ、まって、」
「うるせえ、早く行くぞ。限界近いだろ」
さっきまで血が通って無かったのに、その一言でカァッと耳まで赤くなる。
 この前抜けた時と同じ教師だったにも関わらず、すんなり抜けられた。むしろ疲れてんのか?なんて心配そうな表情。これが日ごろの行いってやつだろう。
「おれ、いい…」
「はぁ!?何言ってんだよ。ほら、早くトイレ行くぞ」
「いい…いきたくない…」
「子供みたいにちんこ触りながらよく言うよ。何がしたいんだよまじで」
片方の腕をとり、無理矢理進む。
「っ、ほんとに、やだ、から…」
尋常じゃない拒否反応。掴んだ手が冷たいし、震えを感じ取る。まるで、注射を嫌がる子供のよう。
「っ~!むり、ほんと、入れない…」
「はぁ?」
ぼろぼろと涙を溢しながら訴える。
何に怯えているのかは分からないが、ここまで来るとイライラより心配してしまう。
「…ペットボトルの部屋か?」
「…え?」
「そこでなら出来るんだろ」
「…え、あ、あぅ…」
「…こい」
「…ん…」


「すんだ?」
部屋から出てきた奴が俯きがちに気まずそうな顔で出てくる。
「…知ってたのか?」
「…まあな。不可抗力」
「…そう、ごめん」
「何で謝るんだよ。じゃ、俺戻るから。適当な時間経ったら戻ってこい。俺は授業戻る」
「…何も、聞かないのか?」
「聞いて欲しいのか?」
「いや…」
「でも、何があったか知らねえけど、言えよ。本当にどうしようもなくなったら」
「…ありがとう…」
 正直何がどうしてこうなったのか、全くの検討がつかない。あんな場所で用を足すほど追い詰められている、分かることはそれだけ。ただの友達の俺に、聞きだす義務も権利もない。
 
 俺に出来ることは、待つことだけだ。彼が助けを呼ぶ、その日まで。


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