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真実の愛?
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案内された席は、なんとアデライド様と同じテーブルでした。こういうお茶会では身分や地位が最優先なので、筆頭侯爵家の私が王族と同じ席になるのは珍しくはありませんが…今日は私的なお茶会と聞いているのでこの場合、主催者のアデライド様と親しい順になります。アデライド様とはエルネスト様の婚約者時代に多少の交流はあったので、私はせいぜい真ん中くらいの席かと思っていました。
「突然で驚いたでしょう?」
「は、はい…」
ふふっと笑みを漏らしたアデレイド様でしたが、私はともかくリシャール様はその何十倍も驚いたでしょう。ちらっと様子を窺うと私の視線に気付いて目が合うと、ふ…と笑みを浮かべられました。気分を害されたわけではない様で安心しましたが、困惑されているのは間違いないでしょう。
「ふふっ、実は今日集まった皆様はね、レティシア様、貴女の隠れファンなの」
「はぁあ?」
またしても変な声が出てしまいましたが…ええ、私は悪くない筈ですわ。
それからアデライド様から説明を受けましたが、情況はやはり私の予想の斜め上どころか回りまわって一周する勢いのところにあると、私はそう感じました。
「大ファンって…私の家はカロン侯爵家とは不仲なのですが…」
「だからこそ、よ。皆様、貴女とお近づきになりたいのだけど、家の事を考えると、声をかけるのは憚られるでしょう?」
「ええ、まぁ…」
確かにその通りではあります。貴族ともなれば家同士の関係が人間関係そのものなので、家同士の関係が悪いと好ましいと思っても仲良くするのは難しいのですよね。場合によっては相手を陥れるために利用される可能性もあるので尚更です。ベルティーユ様が私と仲良くしているのは、本当に例外中の例外なのです。
「あ、あのっ!わ、私達、以前からお話してみたくて…」
「婚約破棄されてからは、とても愛らしくて表情豊かになられましたし…」
「それに、愛する方のために詐欺事件を解決するなんて、感動致しましたの!」
「しかも、身分差を超えて婚約を勝ち取られましたわ!」
「「「正に真実の愛!なんて尊いんでしょう!!!」」」
次々と皆様に話しかけられ、最後にはまた皆様がハモりましたが…
(えっと、言いたい事はわかったけれど…)
皆様、私と仲良くしたいと思って下さっていたようです。それに私が身分が下のリシャール様に求婚した事や、以前とは別人のように変わった事、詐欺集団を捕らえた事も真実の愛によるもので、市井で流行っている恋愛小説などよりもずっとドラマチックで感動的だと思われているそうです。
その上、エルネスト様とアネット様には反感をお持ちだったようです。婚約クラッシャーで王族を篭絡したアネット様は、あざといだけで真実の愛を貶めているとお怒りなのだとか。
「ラフォン様、私達はお二人を応援しておりますわ!」
「ええ、お二人の邪魔をする者は私達が許しませんから」
「お困りの時には遠慮なくお声をかけて下さい!」
「ええ!その時は何をおいてもお二人をお助けしますわ!」
「あ、ありがとう…ございます」
応援して下さっている事は嬉しいのですが…何だか素直に喜べないのはなぜでしょうか…ラフォン家の私が皆様の圧に負けてしまうなど有るまじき事なのですが…こ、こればっかりは仕方ありませんよね?リシャール様も困惑されているようで、私達はどう反応すべきなのかわからないまま皆様の勢いに翻弄されるばかりでした。
(…何かが違う気がするのは、気のせいかしら…)
気が付けば皆様の盛り上がりはかなりのもので、「真実の愛を見守る会」という訳の分からない会の決起大会と化していました。
「突然で驚いたでしょう?」
「は、はい…」
ふふっと笑みを漏らしたアデレイド様でしたが、私はともかくリシャール様はその何十倍も驚いたでしょう。ちらっと様子を窺うと私の視線に気付いて目が合うと、ふ…と笑みを浮かべられました。気分を害されたわけではない様で安心しましたが、困惑されているのは間違いないでしょう。
「ふふっ、実は今日集まった皆様はね、レティシア様、貴女の隠れファンなの」
「はぁあ?」
またしても変な声が出てしまいましたが…ええ、私は悪くない筈ですわ。
それからアデライド様から説明を受けましたが、情況はやはり私の予想の斜め上どころか回りまわって一周する勢いのところにあると、私はそう感じました。
「大ファンって…私の家はカロン侯爵家とは不仲なのですが…」
「だからこそ、よ。皆様、貴女とお近づきになりたいのだけど、家の事を考えると、声をかけるのは憚られるでしょう?」
「ええ、まぁ…」
確かにその通りではあります。貴族ともなれば家同士の関係が人間関係そのものなので、家同士の関係が悪いと好ましいと思っても仲良くするのは難しいのですよね。場合によっては相手を陥れるために利用される可能性もあるので尚更です。ベルティーユ様が私と仲良くしているのは、本当に例外中の例外なのです。
「あ、あのっ!わ、私達、以前からお話してみたくて…」
「婚約破棄されてからは、とても愛らしくて表情豊かになられましたし…」
「それに、愛する方のために詐欺事件を解決するなんて、感動致しましたの!」
「しかも、身分差を超えて婚約を勝ち取られましたわ!」
「「「正に真実の愛!なんて尊いんでしょう!!!」」」
次々と皆様に話しかけられ、最後にはまた皆様がハモりましたが…
(えっと、言いたい事はわかったけれど…)
皆様、私と仲良くしたいと思って下さっていたようです。それに私が身分が下のリシャール様に求婚した事や、以前とは別人のように変わった事、詐欺集団を捕らえた事も真実の愛によるもので、市井で流行っている恋愛小説などよりもずっとドラマチックで感動的だと思われているそうです。
その上、エルネスト様とアネット様には反感をお持ちだったようです。婚約クラッシャーで王族を篭絡したアネット様は、あざといだけで真実の愛を貶めているとお怒りなのだとか。
「ラフォン様、私達はお二人を応援しておりますわ!」
「ええ、お二人の邪魔をする者は私達が許しませんから」
「お困りの時には遠慮なくお声をかけて下さい!」
「ええ!その時は何をおいてもお二人をお助けしますわ!」
「あ、ありがとう…ございます」
応援して下さっている事は嬉しいのですが…何だか素直に喜べないのはなぜでしょうか…ラフォン家の私が皆様の圧に負けてしまうなど有るまじき事なのですが…こ、こればっかりは仕方ありませんよね?リシャール様も困惑されているようで、私達はどう反応すべきなのかわからないまま皆様の勢いに翻弄されるばかりでした。
(…何かが違う気がするのは、気のせいかしら…)
気が付けば皆様の盛り上がりはかなりのもので、「真実の愛を見守る会」という訳の分からない会の決起大会と化していました。
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