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想定外の状況
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「いらっしゃい、レティシア様、そして「ヴァン ダンジュ」の若きオーナー」
今日のお茶会の会場は王宮の庭で、出迎えたのは何とアデライド様ご本人でいらっしゃいました。ベルティーユ様と同じ紅い髪は鮮やかで、ベルティーユ様よりも少し暗めの灰緑色の瞳は生き生きと輝いています。何と言いますか、ベルティーユ様以上に迫力のある美女、といった感じですわね。
「お招きありがとうございます、アデライド妃殿下にはご機嫌麗しく…」
「ああ、堅苦しいのは今日はなしにしてちょうだい。こちらこそいつもベルと仲良くしてくれてありがとう」
どうやら姉君も気さくで堅苦しいマナーはお好きではないようですわ。でも、後ろで侍女がおろおろしているところを見ると、さすがに気安過ぎると思われているのでしょう。それでも、そんな型破りなところが好ましく見えるのですから不思議です。
「ああ、彼がレティシア嬢の愛しの婚約者殿ね」
アデライド様はリシャール様に視線を向けると、一層笑みを深めました。もしかしてリシャール様に興味が?と心配になりましたが、異性として意識しているというよりも、好奇心が隠し切れない…といった感じでしょうか?
ちら、とお茶会の参加者を見ると、本当に親しい方たちで固めているのがはっきりしました。しかも今日は男性の姿は殆どなく、二十名ほどの若い女性ばかりです。そんな中では私とリシャール様が揃って出席しているのは、異質な存在にも感じられました。うう、こうも女性ばかりだと、リシャール様が心配です…
「まぁ!あの「ヴァン ダンジュ」のオーナーがこのお方?」
「やり手だと噂で伺っていましたが…思ったよりもお若いのですね」
「ラフォン様も随分と印象が変わられたようで…」
「ええ、前とは別人のようですわ」
参加しているのは私と同じくらいか、それよりも少し年上の女性が殆どですが、皆様、目が狩人のようで怖いですわ。そ、それに…
(な、何なの?どうしてリシャール様を見て目を輝かせているのよ―――?!!)
下位貴族風情が生意気な!なんて言われる可能性も無きにしも非ず、その時には私が盾となってお守りするんだから!と意気込んでいた私でしたが…何と言いますか…皆様、熱心にリシャール様を見ています。もしかして狙われている…のでしょうか…?
(リ、リシャール様は私の婚約者ですのに!)
別の意味で私の何かのスイッチが入った音がしましたが…
「「「なんてお似合いなお二人なのでしょう!尊いですわぁ!!!」」」
何故か皆様、瞳をウルウルさせながら私達を見てそう叫びました。えっと…今盛大にハモった様に聞こえましたが…何でしょうか?予想の斜め上どころか明後日の方向の展開に、私は思考停止から回復するのに時間がかかってしまいました。ま、マズいですわ、スキを見せてはリシャール様をお守り出来ませんのに…
「ふふっ、実はここにいる子達って、貴女のファンなのよ」
「は、ぁ…?」
そんな私にアデライド様がそう声を掛けましたが…思わず変な声が出てしまった私はきっと悪くないでしょう。一体何が起きているのでしょうか…全く意味が分かりませんし、皆様の態度がちょっと怖いと言いますか、ドン引きなのですが…アデライド様の後ろではベルティーユ様が眉を顰めているのが見えました。私と目が合うと、何かを諦めたような表情で黙って首を左右に振っています。
「ふふっ、詳しい事は座ってお話しましょう」
アデライド様にそう言われて、私とリシャール様は席へと案内されました。その後ろを皆様が付いてくるのですが…それもちょっと怖いです。
今日のお茶会の会場は王宮の庭で、出迎えたのは何とアデライド様ご本人でいらっしゃいました。ベルティーユ様と同じ紅い髪は鮮やかで、ベルティーユ様よりも少し暗めの灰緑色の瞳は生き生きと輝いています。何と言いますか、ベルティーユ様以上に迫力のある美女、といった感じですわね。
「お招きありがとうございます、アデライド妃殿下にはご機嫌麗しく…」
「ああ、堅苦しいのは今日はなしにしてちょうだい。こちらこそいつもベルと仲良くしてくれてありがとう」
どうやら姉君も気さくで堅苦しいマナーはお好きではないようですわ。でも、後ろで侍女がおろおろしているところを見ると、さすがに気安過ぎると思われているのでしょう。それでも、そんな型破りなところが好ましく見えるのですから不思議です。
「ああ、彼がレティシア嬢の愛しの婚約者殿ね」
アデライド様はリシャール様に視線を向けると、一層笑みを深めました。もしかしてリシャール様に興味が?と心配になりましたが、異性として意識しているというよりも、好奇心が隠し切れない…といった感じでしょうか?
ちら、とお茶会の参加者を見ると、本当に親しい方たちで固めているのがはっきりしました。しかも今日は男性の姿は殆どなく、二十名ほどの若い女性ばかりです。そんな中では私とリシャール様が揃って出席しているのは、異質な存在にも感じられました。うう、こうも女性ばかりだと、リシャール様が心配です…
「まぁ!あの「ヴァン ダンジュ」のオーナーがこのお方?」
「やり手だと噂で伺っていましたが…思ったよりもお若いのですね」
「ラフォン様も随分と印象が変わられたようで…」
「ええ、前とは別人のようですわ」
参加しているのは私と同じくらいか、それよりも少し年上の女性が殆どですが、皆様、目が狩人のようで怖いですわ。そ、それに…
(な、何なの?どうしてリシャール様を見て目を輝かせているのよ―――?!!)
下位貴族風情が生意気な!なんて言われる可能性も無きにしも非ず、その時には私が盾となってお守りするんだから!と意気込んでいた私でしたが…何と言いますか…皆様、熱心にリシャール様を見ています。もしかして狙われている…のでしょうか…?
(リ、リシャール様は私の婚約者ですのに!)
別の意味で私の何かのスイッチが入った音がしましたが…
「「「なんてお似合いなお二人なのでしょう!尊いですわぁ!!!」」」
何故か皆様、瞳をウルウルさせながら私達を見てそう叫びました。えっと…今盛大にハモった様に聞こえましたが…何でしょうか?予想の斜め上どころか明後日の方向の展開に、私は思考停止から回復するのに時間がかかってしまいました。ま、マズいですわ、スキを見せてはリシャール様をお守り出来ませんのに…
「ふふっ、実はここにいる子達って、貴女のファンなのよ」
「は、ぁ…?」
そんな私にアデライド様がそう声を掛けましたが…思わず変な声が出てしまった私はきっと悪くないでしょう。一体何が起きているのでしょうか…全く意味が分かりませんし、皆様の態度がちょっと怖いと言いますか、ドン引きなのですが…アデライド様の後ろではベルティーユ様が眉を顰めているのが見えました。私と目が合うと、何かを諦めたような表情で黙って首を左右に振っています。
「ふふっ、詳しい事は座ってお話しましょう」
アデライド様にそう言われて、私とリシャール様は席へと案内されました。その後ろを皆様が付いてくるのですが…それもちょっと怖いです。
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