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結婚相手を交換したいと言いますが、あの男はやめた方がいいですよ?

4 私の天敵がもしや?

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私はその日、オークション会場で商品を物色していた。

目を付けていた品はさっさと高値で取引されてしまい、やはりなと肩を落とす。

しかし、第二部の一番始めに出た品には会場の者達は興味を示さず、私はシメシメと札をあげた。



「はい、27番64出ました……おお、15番70出ました」



……!?

私がチラリと左側を見れば、いつもの天敵が札を上げている。



私がしているのは、オークション会場に足を運ぶことを厭うわりに価値のあるものをコレクションしたいという貴族の要望を満たす仲買のようなものだ。



私は昔、街の骨董品店にて二束三文で売られていた物がどうしても素敵な物にしか見えなくて、自分としては珍しく実用品でもないのにそれを購入した。



そしてそれを鑑定に出したところ、まさかの本物だったのだ。



二束三文で売られていた品は、男爵家の古びた棚から厳重な警備のついた国宝級の品が並ぶ陳列棚へと場所を変えたのである。



幸いなことに、私には審美眼というものが備わっていたらしい。

そんなことを二、三回繰り返した私の噂を聞きつけた人が、私にこの仕事をこっそり紹介してくれた。



だから、父の稼ぎからなる男爵家の家計は常に火の車であるが、実は私が大量のへそくりを貯め込んでいたりもする。

ただ、私の質素な姿と家計を必死にやりくりしている生活態度から、あまり気付く人はいなかった。



因みに私に見合いの話を持ってきた伯爵家は、この仕事を紹介してくれた人と仲が良かった為に私の存在を知ったらしい。

挨拶も交わしたことのない伯爵家から私宛にお手紙を頂いた時は、何か闇市的なものに手を出してしまったのではないかと気が気ではなかった。



「──はい、75ですね。おっと、80です」

私は目の前の商品に集中した。

あの品は絶対100以上の価値はある。

……が、手持ちを考えれば無理はしたくない。

あの天敵がいる時はつい対抗心が芽生えてムキになり、普段より高値で買ってしまうから尚更だ。



私は一旦、諦めた。

まだこのオークションで攻めたい品は数多くある。



私を信用してお金を預けてくれた人には最良の品を渡したいとは思う一方、またそのお金を銅貨一枚でも無駄にしたくなかった。



ふと、普段札を上げているその男性の横に、仮面をしていてもわかる容姿の人……チビハゲデブの方が座っていることに私は気付く。



何回も(一方的に)対決しているのに、今まで全く気付かなかった!
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