勇者、記録削除済
王国歴一二七年。
世界は“魔王討伐”という偉業を成し遂げ、平和を手にした——はずだった。
だが、誰も「勇者」を知らない。
討伐を成した存在がいたはずなのに、王国の公式記録、教会の聖典、歴史書、すべてにおいて“勇者”の記述だけが不自然に欠落している。まるで最初から存在しなかったかのように。
新人記録官アーカは、業務の中で発見した一つの破損ログをきっかけに、この異常に気づく。そこには、削除される直前の一文が残されていた。
「——勇者は、■■■によって消去された」
調査を進めるほどに現れる矛盾した証言。
魔族側に残る記録、勇者パーティーだったと名乗る者たちの食い違う記憶、そして“存在しないはずの勇者”を知る人物。
やがてアーカは辿り着く。
この世界そのものが、何者かによって“編集”されている可能性に。
勇者の記録はなぜ消されたのか。
そもそも勇者とは何だったのか。
これは、存在を奪われた英雄と、
その痕跡を追う者たちの記録である。
世界は“魔王討伐”という偉業を成し遂げ、平和を手にした——はずだった。
だが、誰も「勇者」を知らない。
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新人記録官アーカは、業務の中で発見した一つの破損ログをきっかけに、この異常に気づく。そこには、削除される直前の一文が残されていた。
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