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第2章 訓練の日々

訓練の日々 4

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 そう言って、ストラスブルの合図で、他のシエンナ騎士が冊子を皆に一冊づつ渡し始めた。手垢のついた古い冊子がレイの手元にも渡される。

「そこにシエンナ騎士団の会則が書いてある。騎士団の中で最も大事な規則だ。すべて覚えろ。完璧に、一語一句違わず体に叩き込め! 会則、規律の守れぬものには罰則がある。場合におよっては破門もある。甘く見るなよ」

 その後、みな散り散りになり、座って会則と睨めっこする事になった。レイは正直助かったと思っていた。しんどい体だったが、これなら何とかこなせそうだ。トーブが近づいて来て、レイに耳打ちした。

「めんどくせーなー、な、レイ。これ、62条まであるぜ、ウゲー」

 すぐにストラスブルが飛んできて、トーブとレイの太ももを持っていた棒でピシャリと叩いた。

「怪我人だと思って、甘く見ると思ったら大間違いだぞ。戦場では言い訳は通じん。私語は慎め! 俺は情け容赦ねえ。覚悟しろ」 

 ダミ声が広間に響く。トーブが太ももを抱えて飛ぶ様に離れて行った。
 会則の中には実に様々な事が書かれていた。まず、総長の権力は絶対だという事から始まって、入会の原則、身なりの規則、食事の規則、生活全般の規則、過ちについての規則、など事細かに書かれていた。

 初日、全ての時間を費やしたが、会則をすべて完璧に覚え終わるものは出なかった。そのまま会則の冊子は持ち帰り宿舎でも読む様に言い渡された。レイは医務室に戻り食事と薬を飲んだ後、戻ってまで冊子を読む力が残っておらず、疲れ果てた様に眠りについた。トーブは皆と同じ宿舎に移った様で隣は静かだった。
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