上 下
23 / 70
第二章 幻獣の野にて

8※

しおりを挟む


 ――仰向けになった王の上に馬乗りになり、女郎のように腰を振ってみせよと。

 ナシェルは泣きそうになりながら、仕方なく云われたとおりおずおずと父の上に跨った。
 自分から挿れるなんて……怖い……。

 怒張した父王のものを、狙いを定めて自分の中に導くようにしながら、腰を落とす。さきほど父王の指と膏油によって寛げられたナシェルの穴は、あまり苦痛を感じることなく大きな塊を受け入れた。

「う……」
 それでもギチギチと体内が余裕なく張りつめ、思わず声が漏れる。

「ふ……静かにせぬと、そろそろ衛士達が起き出してくる頃合だぞ。気づかれたらどうする」

 冥王は苦笑し、側にあった、ナシェルが自分の精液を拭って放った手拭をとって、ナシェルの口に噛ませる。

「んん…」

 屈辱的な姿を強制され、ナシェルはほとんど泣き出し鼻をすすりながら、何とか動いた。
 セダルは、自分に似た王子の白く美しい喉許を、うっとりと、だが傲然と、見つめている。
 ――上下するたび、ぐちゃぐちゃと、淫らな音が天幕中に響き渡る。


 じきに側近たちが起き出す時間だ。
 早く終わらせなければならない。
 ヴァニオンの涙が、脳裏に蘇った。

 彼は……どうしただろうか。まだあの場で、泣いているのか。
 彼は自分の供回りから、外されてしまうだろうか。

「余所事を考えているようでは……余を満足させることなど出来ぬぞ。それから余に内緒で他の者に抱かれたこと、どう弁明するつもりだ、そんなはしたない子に育てたつもりはないのだがな」

 冥王がナシェルの腰を両手で支えながら、心の内を見透かしたように云う。

 「父上……お許しください……二度と……二度としませんから。彼を殺さないで、」
 涙を溢しながら、王のものを最奥まで深く受け入れながら、ナシェルは哀願した。

「殺しはせぬよ。そなたが、ちゃんと反省の態度を示すのならな」
 王の貌からは一切の感情が読み取れぬ。
 怒りを鎮め、納得させるには、躯で応えるしかないようだ。

 ナシェルは髪を乱しながら腰を振る。動くたびに顎を伝って自分の胸の上に落ちる涙と汗の粒を、セダルは無言で、表情もなく見つめていた。





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【短編】無理矢理犯したくせに俺様なあいつは僕に甘い

BL / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:224

Relation with・・・

BL / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:460

最愛の推しを殺すモブに転生したので、全力で救いたい!

BL / 完結 24h.ポイント:5,581pt お気に入り:2,133

晴れた日はあなたと…。

BL / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:24

【R18】嫌われていると思ったら歪すぎる愛情だった【完結】

BL / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:360

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:201,536pt お気に入り:12,091

俺で妄想するのはやめてくれ!

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:964

異世界からの花嫁(異種族姦ハーレム)

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:850

処理中です...