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第二章 幻獣の野にて
8※
しおりを挟む――仰向けになった王の上に馬乗りになり、女郎のように腰を振ってみせよと。
ナシェルは泣きそうになりながら、仕方なく云われたとおりおずおずと父の上に跨った。
自分から挿れるなんて……怖い……。
怒張した父王のものを、狙いを定めて自分の中に導くようにしながら、腰を落とす。さきほど父王の指と膏油によって寛げられたナシェルの穴は、あまり苦痛を感じることなく大きな塊を受け入れた。
「う……」
それでもギチギチと体内が余裕なく張りつめ、思わず声が漏れる。
「ふ……静かにせぬと、そろそろ衛士達が起き出してくる頃合だぞ。気づかれたらどうする」
冥王は苦笑し、側にあった、ナシェルが自分の精液を拭って放った手拭をとって、ナシェルの口に噛ませる。
「んん…」
屈辱的な姿を強制され、ナシェルはほとんど泣き出し鼻をすすりながら、何とか動いた。
セダルは、自分に似た王子の白く美しい喉許を、うっとりと、だが傲然と、見つめている。
――上下するたび、ぐちゃぐちゃと、淫らな音が天幕中に響き渡る。
じきに側近たちが起き出す時間だ。
早く終わらせなければならない。
ヴァニオンの涙が、脳裏に蘇った。
彼は……どうしただろうか。まだあの場で、泣いているのか。
彼は自分の供回りから、外されてしまうだろうか。
「余所事を考えているようでは……余を満足させることなど出来ぬぞ。それから余に内緒で他の者に抱かれたこと、どう弁明するつもりだ、そんなはしたない子に育てたつもりはないのだがな」
冥王がナシェルの腰を両手で支えながら、心の内を見透かしたように云う。
「父上……お許しください……二度と……二度としませんから。彼を殺さないで、」
涙を溢しながら、王のものを最奥まで深く受け入れながら、ナシェルは哀願した。
「殺しはせぬよ。そなたが、ちゃんと反省の態度を示すのならな」
王の貌からは一切の感情が読み取れぬ。
怒りを鎮め、納得させるには、躯で応えるしかないようだ。
ナシェルは髪を乱しながら腰を振る。動くたびに顎を伝って自分の胸の上に落ちる涙と汗の粒を、セダルは無言で、表情もなく見つめていた。
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