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第四章 深まる嫌疑と求愛者

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 私はアルベール様とその従妹を、応接間で出迎えた。彼女には、アンバーの後釜という名目で、今日から私付きの侍女として働いてもらうことになっている。アルベール様が付き添ってくださったことに、私は安堵を覚えた。

「コレットと申します。よろしくお願いいたします」

 十八歳だという彼女は、ハキハキと挨拶した。アルベール様と同じ黒髪に黒い瞳の、利発そうな女性だ。

「アルベールとは、母親同士が姉妹ですの」

(母親同士……?)

 アルベール様は妾腹の子かもしれない、というローズの言葉を、私は思い出した。彼に似ているところを見ると、コレットは実母の方の従妹なのだろうか。とはいえ、詮索するのはためらわれた。第一、今はそれどころではない。

「モニクです。大変な時に来ていただいて、ありがとう。感謝するわ」
「彼女は、すでに事情を承知しているので」

 アルベール様が、横から説明なさる。

「なので、早速本題に入りますよ。あなたの手袋とショールが見つかったそうですね?」
「ええ。でも、それだけでは無いんですの」

 私は、短剣の件を打ち明けた。二人は、深刻な表情で聞いていた。

「そのアンバーという侍女が、解雇された腹いせにやったのかしら?」

 間髪入れずに、コレットが言う。確かにアルベール様が推薦するだけのことはあり、頭の回転は速そうだ。

「短剣だけなら、私もそう思ったわ。でも手袋とショールは、一週間も前に無くなっていたのよ」
「じゃあ辻褄が合いませんね」

 アルベール様が、考え込む。そこで私は、お父様の話を思い出した。

「そうだわ。うちの門番が、パーティーの夜、中庭で女性の影を見たと言っているそうですの。アンバーかしら。それとも、他にも私を陥れようとしている女性が……? もちろん、私、という可能性もまだ残されていますけれど」

 一応付け加えると、アルベール様は呆れたような顔をなさった。

「まだそんなことを? あなたではないと信じている、と言ったでしょうに」
「アルベール様……」 
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