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第六章 偽装恋人宅の訪問
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「な……、何言ってるの? アルベール様との関係は偽装なのよ? 大きな声では言えないけれど……」
私は面食らったが、コレットは真剣な眼差しをしていた。
「モニク様、ご存じないでしょう? アルベールはね、あの事件以降、記憶喪失についてずっと調べていたんです。当日の夜は、ほぼ徹夜したみたいですよ」
「……本当に?」
確かに、調べたとは仰っていたけれど。まさか、徹夜までされたなんて。そんな素振りは、少しも見せなかったけれど……。
「本当ですよ。私、彼が女性のためにあんなに一生懸命になる所、初めて見ました」
コレットは、にっこりした。
「だから、モニク様は特別なのかしらって。……それに、この香水も。長い付き合いですけれど、彼が女性に贈り物をするところも、初めて見ましたわ」
「それは……。取り調べの日に、さっさと帰ったお詫びだからと……」
とは言いながらも、私は赤くなるのを抑えられなかった。コレットが、いっそう可笑しそうに笑う。
「アルベールは、アピール下手なのですわよ。おまけに、口は悪いし。そんなんじゃ女性が寄りつかないわよって、昔からよく忠告しましたもの……。でも、これだけは確かですわ。アルベールは、誠実な男です」
「私も、そう思うわ」
私は、大きく頷いた。時々デリカシーが無い時もあるけれど、アルベール様の仰る言葉は、いつも私のためを思ってのことだ。それに何より彼の行動が、誠意を証明している……。
「わかっていただけて、嬉しいです。ぶきっちょな従兄にもようやく春が訪れたようで、私もひと安心ですわ」
安堵したように、コレットがため息をつく。
「私も、これで自分の恋に専念できるというものです」
「あら、あなた、好きな男性がいるの?」
私は、興味津々で身を乗り出した。何だか、新鮮な気分だ。前世でも現世でも、女友達と恋バナなんて、したことが無かった。そんな話は、自分には無縁だと思っていたのだ。
「ええ、まあ……。昔から想っている方がね」
「どなた? 私が存じている方かしら?」
突っ込もうと思ったが、ちょうどその時、部屋の外からモーリスの声がした。
「お嬢様。アルベール様が、お迎えに来られましたぞ?」
(わざわざ、お迎えに……?)
私は面食らったが、コレットは真剣な眼差しをしていた。
「モニク様、ご存じないでしょう? アルベールはね、あの事件以降、記憶喪失についてずっと調べていたんです。当日の夜は、ほぼ徹夜したみたいですよ」
「……本当に?」
確かに、調べたとは仰っていたけれど。まさか、徹夜までされたなんて。そんな素振りは、少しも見せなかったけれど……。
「本当ですよ。私、彼が女性のためにあんなに一生懸命になる所、初めて見ました」
コレットは、にっこりした。
「だから、モニク様は特別なのかしらって。……それに、この香水も。長い付き合いですけれど、彼が女性に贈り物をするところも、初めて見ましたわ」
「それは……。取り調べの日に、さっさと帰ったお詫びだからと……」
とは言いながらも、私は赤くなるのを抑えられなかった。コレットが、いっそう可笑しそうに笑う。
「アルベールは、アピール下手なのですわよ。おまけに、口は悪いし。そんなんじゃ女性が寄りつかないわよって、昔からよく忠告しましたもの……。でも、これだけは確かですわ。アルベールは、誠実な男です」
「私も、そう思うわ」
私は、大きく頷いた。時々デリカシーが無い時もあるけれど、アルベール様の仰る言葉は、いつも私のためを思ってのことだ。それに何より彼の行動が、誠意を証明している……。
「わかっていただけて、嬉しいです。ぶきっちょな従兄にもようやく春が訪れたようで、私もひと安心ですわ」
安堵したように、コレットがため息をつく。
「私も、これで自分の恋に専念できるというものです」
「あら、あなた、好きな男性がいるの?」
私は、興味津々で身を乗り出した。何だか、新鮮な気分だ。前世でも現世でも、女友達と恋バナなんて、したことが無かった。そんな話は、自分には無縁だと思っていたのだ。
「ええ、まあ……。昔から想っている方がね」
「どなた? 私が存じている方かしら?」
突っ込もうと思ったが、ちょうどその時、部屋の外からモーリスの声がした。
「お嬢様。アルベール様が、お迎えに来られましたぞ?」
(わざわざ、お迎えに……?)
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