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第十五章 明かされた秘密
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(あ……。つまり、そういうこと……?)
アルベール様の要求内容を察した私は、その場に固まってしまった。彼が、ため息をつく。
「いいでしょう? それくらい。本来ならもっと早く挙式できるはずだったのに、怪我のせいで延びてしまったんだから。一つ屋根の下にあなたがいるというのに、手出しできないなんて、ほとんど拷問なんですけどね」
「手出しは……、されている気もするのですけど……」
アルベール様は折に触れて、自由な左腕で私を抱き寄せたり、口づけたりなさるのだ。よく考えたら、その方がよほど負荷がかかっているのでは。だが、そう言い返そうとした矢先、アルベール様はこう言い出された。
「そういう意味じゃありませんよ。今だって、部屋に二人きりで、ベッドがあって、絶好のシチュエーションだというのに。俺は、ひたすらおとなしく寝ていなければならないなんて。……こう言ったら、わかりますか? それとも、もっと具体的に説明した方がいい? 俺があなたに何をしたいのか。まずは……」
「止めて、止めてください!」
私は、悲鳴を上げた。
「わかりましたわよ。やりますから……」
私は、破れかぶれでワインをあおった。立ち上がり、覆いかぶさるようにアルベール様に口づける。どうにか液体を流し込むと、ややあってこくりと嚥下する音が聞こえた。
(これで、義務は果たしたわ)
だが、唇を離そうとしたそのとたん、私は再び悲鳴を上げそうになった。アルベール様の左腕が伸び、私の上体を抱き込んだのだ。逃れようにも、彼は力強く私を押さえつけて、放そうとしない。自然と、彼に乗りかかるような体勢になってしまった。
「んんっ……」
アルベール様の舌が、自在に私の口内を蹂躙する。左腕は、相変わらず私を拘束したままだ。さらに私は、妙な気配に気付いた。うなじの辺りに、手が這う感触がしたのだ。その手は、徐々に背中の方へと下降して行った。ドレスの内部に潜り込み、指の腹で素肌を優しく愛撫する。だが左手は、私を捕らえるのに、使用済みのはずだが……。
「アルベール様!!」
ようやくアルベール様の唇から逃れると、私はわめいた。まさかとは思ったが、私の背中に悪戯を仕掛けたのは、彼の右手だったのだ。
「手先しか使っていないから、患部に支障は無い」
けろりとそう言い放つアルベール様を、私はキッとにらんだ。
「大ありです! 大体……」
その時、ガチャッと扉が開く気配がした。ぎょっとして振り返れば、モンタギュー侯爵が入って来られるところだった。
(穴があったら入りたい……)
しかもどう見ても、私がアルベール様を押し倒している状態。侯爵も、固まってらっしゃる。
「失礼! いや、ノックは何度もしたのだが。なかなかお返事が無いもので、つい……」
「こちらこそ、お待たせして失礼しました。私の妻は、なかなか積極的でして」
澄ました顔で、アルベール様が仰る。いっそ左腕も破壊してやろうか、と私は一瞬本気で思ったのだった。
アルベール様の要求内容を察した私は、その場に固まってしまった。彼が、ため息をつく。
「いいでしょう? それくらい。本来ならもっと早く挙式できるはずだったのに、怪我のせいで延びてしまったんだから。一つ屋根の下にあなたがいるというのに、手出しできないなんて、ほとんど拷問なんですけどね」
「手出しは……、されている気もするのですけど……」
アルベール様は折に触れて、自由な左腕で私を抱き寄せたり、口づけたりなさるのだ。よく考えたら、その方がよほど負荷がかかっているのでは。だが、そう言い返そうとした矢先、アルベール様はこう言い出された。
「そういう意味じゃありませんよ。今だって、部屋に二人きりで、ベッドがあって、絶好のシチュエーションだというのに。俺は、ひたすらおとなしく寝ていなければならないなんて。……こう言ったら、わかりますか? それとも、もっと具体的に説明した方がいい? 俺があなたに何をしたいのか。まずは……」
「止めて、止めてください!」
私は、悲鳴を上げた。
「わかりましたわよ。やりますから……」
私は、破れかぶれでワインをあおった。立ち上がり、覆いかぶさるようにアルベール様に口づける。どうにか液体を流し込むと、ややあってこくりと嚥下する音が聞こえた。
(これで、義務は果たしたわ)
だが、唇を離そうとしたそのとたん、私は再び悲鳴を上げそうになった。アルベール様の左腕が伸び、私の上体を抱き込んだのだ。逃れようにも、彼は力強く私を押さえつけて、放そうとしない。自然と、彼に乗りかかるような体勢になってしまった。
「んんっ……」
アルベール様の舌が、自在に私の口内を蹂躙する。左腕は、相変わらず私を拘束したままだ。さらに私は、妙な気配に気付いた。うなじの辺りに、手が這う感触がしたのだ。その手は、徐々に背中の方へと下降して行った。ドレスの内部に潜り込み、指の腹で素肌を優しく愛撫する。だが左手は、私を捕らえるのに、使用済みのはずだが……。
「アルベール様!!」
ようやくアルベール様の唇から逃れると、私はわめいた。まさかとは思ったが、私の背中に悪戯を仕掛けたのは、彼の右手だったのだ。
「手先しか使っていないから、患部に支障は無い」
けろりとそう言い放つアルベール様を、私はキッとにらんだ。
「大ありです! 大体……」
その時、ガチャッと扉が開く気配がした。ぎょっとして振り返れば、モンタギュー侯爵が入って来られるところだった。
(穴があったら入りたい……)
しかもどう見ても、私がアルベール様を押し倒している状態。侯爵も、固まってらっしゃる。
「失礼! いや、ノックは何度もしたのだが。なかなかお返事が無いもので、つい……」
「こちらこそ、お待たせして失礼しました。私の妻は、なかなか積極的でして」
澄ました顔で、アルベール様が仰る。いっそ左腕も破壊してやろうか、と私は一瞬本気で思ったのだった。
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