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最終章 前世から来世へ

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 情けなさすぎて、怒りよりも悲しみを覚える。何か言いかけようとするアルベール様を押し止めて、私はお父様を見すえた。

「お父様。アルベール様への今のご発言、撤回なさってください。アルベール様は、お父様がサリアン邸を去られた後も人を派遣して、ずっと屋敷を守ってくださっていたのですわ。この森や、他の領地も。彼がそうしてくださらなかったら、とっくに侵略されていましたわよ」

 そこまで言っても、お父様はわからないご様子だった。

「元はと言えば、この男が使用人を追い出すからだろうが」
「追い出したのではありません」

 アルベール様は、静かに仰った。

「私は、サリアン邸の使用人に、他にこんな仕事の口があるとほのめかしただけです。彼らにあなたへの忠誠心があれば、そんな話には耳を貸さず、屋敷に留まったはず。つまりは、あなたに人徳が無かったということです」
「何だと!?」

 お父様が、カッと気色ばむ。

「その上、唯一あなたに親身になってくれていたモーリスさんを、あなたはクビになさった。全て、あなたの人を見る目の無さが招いた結果です。ここまで言っても、わかりませんか?」
「お父様」

 私は、後を引き取った。

「今回、バルバラ様は麻薬使用が発覚しました。実はアルベール様は、それをご存じでいながら黙っておられました。なぜだかわかりますか? バルバラ様が捕まれば、お父様もまた、連座制で処罰されると考えられたからです……。王立騎士団の一員というお立場でありながら!」

 お父様は、さすがに黙られた。私は、なおも続けた。

「これでもアルベール様を罵るようであれば、私はあなたを父とは思いません。ミレー公爵に、いえ国王陛下に申し上げて、遅ればせながら連座制の適用を求めます。アルベール様の実のお父上は、ジョゼフ五世陛下。彼を貶めたとなれば、どんな罰が待っているかわかりませんわよ!」
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