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番外編:その時、アルベールは~①
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破れかぶれで、何もかも暴露した。バールへの復讐のため、いかに自分が汚い真似をしてきたか。女性に色仕掛けで近付いた、とも言った。
(これだけ聞けば、さすがに呆れ果てただろう……)
全てはモニクに幸せになってもらうためなのだ、とアルベールは改めて自分に言い聞かせた。彼女のような清らかな女性に、自分はふさわしくない。彼女に目を覚まさせるためなら、自分が軽蔑されることなど、大したことでは無いのだ……。
だが。モニクは、アルベールを真っ直ぐに見つめて言い放った。
「それでも私は、アルベール様を愛しています」
聞き違えたかと思った。だが、唖然とするアルベールに向かって、モニクは何度も繰り返した。
「アルベール様は、汚い人間などではありません」
自信に満ちあふれたその表情は、神々しいほどのまぶしさをたたえていた。その時、アルベールは思ったものだ。
(まるで、聖母のようだ……)
さらにモニクは、一緒に堕ちると宣言し、自ら服を脱ぎ始めた。その姿は痛々しくて、アルベールはたまらなくなった。欲情したのではない。彼女にこんな真似をさせた自分が、情けなくなったのだ。
(聖母を堕として、いいはずが無い。ならば俺が、這い上がろうではないか。彼女の傍まで……)
返事の代わりにアルベールは、モニクに口づけたのだった。
(これだけ聞けば、さすがに呆れ果てただろう……)
全てはモニクに幸せになってもらうためなのだ、とアルベールは改めて自分に言い聞かせた。彼女のような清らかな女性に、自分はふさわしくない。彼女に目を覚まさせるためなら、自分が軽蔑されることなど、大したことでは無いのだ……。
だが。モニクは、アルベールを真っ直ぐに見つめて言い放った。
「それでも私は、アルベール様を愛しています」
聞き違えたかと思った。だが、唖然とするアルベールに向かって、モニクは何度も繰り返した。
「アルベール様は、汚い人間などではありません」
自信に満ちあふれたその表情は、神々しいほどのまぶしさをたたえていた。その時、アルベールは思ったものだ。
(まるで、聖母のようだ……)
さらにモニクは、一緒に堕ちると宣言し、自ら服を脱ぎ始めた。その姿は痛々しくて、アルベールはたまらなくなった。欲情したのではない。彼女にこんな真似をさせた自分が、情けなくなったのだ。
(聖母を堕として、いいはずが無い。ならば俺が、這い上がろうではないか。彼女の傍まで……)
返事の代わりにアルベールは、モニクに口づけたのだった。
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