一樹の陰
大学の史学部講師澤田裕司が妹優子と訪れていた、名古屋市徳川美術館のレストランで青酸化合物を摂取したことによる中毒にて死亡する。死の直前にコーヒーを運んでいたレストランのアルバイト店員大神崇が犯人として連行されるが、残されたコーヒーから毒物は検出されず釈放される。容疑者として殺害事件に関わることとなった大神は、殺害の動機について調べるうちに義理の伯父だった新宮司正勝が社長を務める巨大製薬会社の後継者問題に突き当たる。新宮司には長男達也と次男和也の二人の息子が居たが、長男の達也一家が飛行機事故で全員死亡し、次男の和也は高校を卒業すると父親との確執で家を出ることになり、結婚後二人の子供を残して病死していた。新宮司正勝は自分の血を引く者を後継者にと考え、和也の子供を捜している最中の事件で亡くなった澤田裕司が孫と分かって愕然とする。もう一人残された孫は新宮司正勝の血を引く可能性は低く、後妻の連れ子の新宮司一成が後継者として浮上する。しかし、澤田裕司の友人が次々と殺害され、その殺害にも関与しているのではないかと疑われた大神が、頭脳と行動力で警察とは別の方法で次々と謎を解き、全ての事件が一つの線に繋がっている事を確信し、それが姉の死にも関係していた犯人へと辿り着く、痛快サスペンス小説。
登場人物
大神崇 東大法学部卒業後訳あって美術館のレストランのウエイターとして働く
澤田優子 大学病院の女医だが兄の死に因って大神に出逢い次第に惹かれて行く
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