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第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる
04-6.
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……エリーに心配をかけることになりそうですわ。
侯爵邸にコルセットの予備があったはずだ。
しかし、さらしやコルセットの紐の切られた痕は、緊急事態であったことを隠しきれないだろう。
「……予備の隊服を貸してもらえばよかったのでは?」
アデラインは気づいてしまった。
それを何気なく口にしてしまったことにより、予備の隊服に手を通していたメルヴィンがわざとらしく咳払いをした。
……仕事に支障はありませんね。
軽く袖を捲る。
三回ほど袖を折れば、事務仕事には支障がでないだろう。
……訓練は体調不良を理由に断らせてもらいましょう。
思考回路が正常に動き出したようだ。
火照ってしまっている頬を隠すように手を当てながら、深呼吸をする。
……取り乱す必要はありませんわ。
自分自身に言い聞かせる。
メルヴィンはアデラインの秘密を守ってくれるだろう。
その代わりになにを要求されるのか、わかったものではなかったが、アデラインに無理をさせるようなことはしないはずである。
「メルヴィン騎士団長」
アデラインは騎士のアディとして声をかける。
「私のことは今まで通り、アディと呼んでくださいね」
「わかっている」
「他の方に気づかれないように協力もしてくださいね」
アデラインの言葉にメルヴィンはため息を零した。
「努力をしろ」
メルヴィンは図々しいと言わんばかりの顔をした。
「協力は最大限にしてやろう。だが、その前に言葉遣いを正せ。その話し方では正体を明かしているのも同然だ」
メルヴィンの言葉を聞き、アデラインは大きく頷いた。
……あまりにも話しやすかったのですもの。
心の中で言い訳をする。
メルヴィンに正体がばれてしまえば、騎士生活に終わりを告げると覚悟していた。上司と部下という関係は崩れ、冷遇されることになるだろうと諦めていた。
しかし、メルヴィンの態度は変わらなかった。
それがなによりも嬉しく、アデラインの心は浮かれ切っていた。
侯爵邸にコルセットの予備があったはずだ。
しかし、さらしやコルセットの紐の切られた痕は、緊急事態であったことを隠しきれないだろう。
「……予備の隊服を貸してもらえばよかったのでは?」
アデラインは気づいてしまった。
それを何気なく口にしてしまったことにより、予備の隊服に手を通していたメルヴィンがわざとらしく咳払いをした。
……仕事に支障はありませんね。
軽く袖を捲る。
三回ほど袖を折れば、事務仕事には支障がでないだろう。
……訓練は体調不良を理由に断らせてもらいましょう。
思考回路が正常に動き出したようだ。
火照ってしまっている頬を隠すように手を当てながら、深呼吸をする。
……取り乱す必要はありませんわ。
自分自身に言い聞かせる。
メルヴィンはアデラインの秘密を守ってくれるだろう。
その代わりになにを要求されるのか、わかったものではなかったが、アデラインに無理をさせるようなことはしないはずである。
「メルヴィン騎士団長」
アデラインは騎士のアディとして声をかける。
「私のことは今まで通り、アディと呼んでくださいね」
「わかっている」
「他の方に気づかれないように協力もしてくださいね」
アデラインの言葉にメルヴィンはため息を零した。
「努力をしろ」
メルヴィンは図々しいと言わんばかりの顔をした。
「協力は最大限にしてやろう。だが、その前に言葉遣いを正せ。その話し方では正体を明かしているのも同然だ」
メルヴィンの言葉を聞き、アデラインは大きく頷いた。
……あまりにも話しやすかったのですもの。
心の中で言い訳をする。
メルヴィンに正体がばれてしまえば、騎士生活に終わりを告げると覚悟していた。上司と部下という関係は崩れ、冷遇されることになるだろうと諦めていた。
しかし、メルヴィンの態度は変わらなかった。
それがなによりも嬉しく、アデラインの心は浮かれ切っていた。
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