婚約破棄された私に、実はイケメンの幼馴染がなんでもしてくれる件について。

ヘーグリンド伯爵家は当主である父がカジノで大負けしたせいで破産。
父は失踪。母は病床。兄のエミールが爵位を継いだものの、没落寸前。
そんな状態で、私はレンダール伯爵から婚約破棄を言い渡された。

「だけどおかしいと思わない? あなたを愛してるって言ってなかった?」
「言ってたわ」
「だったら借金まみれの状態からあなたひとりでも救ってあげるべきよね!?」

私のために鼻息を荒くして怒ってくれているのは、幼馴染のグリフィス。
三つ年上のフェルド伯爵令息グリフィス・ネルソン。
私よりずっとキレイで、私よりずっと素敵なドレスを着て髪を巻いてるグリフィス。

「おかしいわよ!」
「ええ、あなたもね」

私が婚約するちょっと前から、彼は〝レディ〟になってしまった。事件だった。
父が破産するまでは、私にとって人生最大の大事件だったのよ。

「ねぇ、カリーナ。いっそうちの子になちゃうぅ~?」

なんてグリフィスがバサバサの睫毛でウィンクしてから数日。
兄が、男色家で有名なムンディ伯爵の愛人になった。
借財は消えて、贅沢な暮らしが戻ってきたのだけれど……微妙な気持ち。

だって、兄を愛しているらしいムンディ伯爵は、私までじっと見てるから。
悪寒が走るような粘ついた熱い眼差しを恐がっていたら、案の定、檻の中よ。

「カリーナ。私とエミールのこどもを産んでくれ」

まあ、地獄よね。
そんな私を助け出してくれたのは、すっごいイケメンの──えっと、誰?

「俺だよ」

えっ、グリフィス!?
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