お飾り王妃と呼ばれた私、暴君(夫)を追放する

アラエル国王の唯一の汚点、それは国王ヨセーファの女遊び。
美貌に恵まれながらも内気な王妃ユリアは〈お飾り〉や〈お人形〉と陰口を叩かれている。

ユリアは、亡き先王が晩年になってやっと授かった、たった一人の王女だった。
だから父亡き後は宰相ポジロスに従うしかなく、嫡男ヨセーファと結婚したのだ。

「ユリア様。あなたの善き夫、善き国王として、この命を捧げます」

結婚式でそう誓ってくれたあの日のヨセーファは、もういない。

「君には国政なんてわからないだろう。口を出すな。黙って横に座っていればいいんだ」

国王という絶対的な権力を手に入れて、酒と女に溺れる日々。

──どうして……なぜなの、ヨセーファ。
──私と、国と、民を、愛してくれると言ったあなたは幻だったの? 

結婚5周年の祝祭の日、不幸な山火事が起きて一つの村が壊滅的被害を受けた。
国王ヨセーファが宣言したのは復興事業ではなく…… 

「炙り出された女を集めて巨大なハーレムを作るぞ!」

もうお飾りではいられない。ユリアは立ち上がる。

「せめて私だけはこの国を愛さなくては……私はたった一人の、アラエル王家の末裔なのだから」

ユリアは幽閉された大宰相カリウワルスに助言を求めた。
そこで神官イヴェルと再会する。

イヴェルは大宰相の息子であり、ユリアの初恋の人だった。
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