リス獣人の溺愛物語

天羽

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15さい

60話 王城へ行こう!

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「リツ!王城が見えてきたよ!!!」


「え!うわぁ~、本当だぁ!!!」


窓越しに外を見ると、それはそれは大きなお城が煌びやかに存在を主張していた。
王城から離れた街並みは活気立ち、人間だけじゃなく多くの獣人にもすれ違う光景に俺は目を輝かせる。

王城までの移動は2つの馬車での移動で、俺とラディ、ライオネルの乗った馬車と、カオン様とパール様が乗った馬車で分けられている。

王城でのパーティーという事で、ラディもライオネルもきっちりと正装を着こなしていて、いつにも増してかっこいい。
グラニード家は代々白と青を基調とする物を身に付けるのが決まりらしく、2人とも白の軍服に肩から袖にかけて青いラインの入った正装を身にまとい、胸にはグラニード家の家紋が刺繍されていて、騎士の家系らしく強く凛々しい雰囲気が全面に出ている。


「ん?リツどうしたの?」


じっとラディとライオネルを見つめていた俺を不思議がってラディが首を傾げる。


「んぇ?…あぁ、いや……2人ともかっこいいなって思って……」


少しだけ恥ずかしくなって俯くと、前と隣から「うっっ!!!」と苦しむような声が聞こえてきて咄嗟に顔を上げる。


「え?どうしたの!?……どこか痛い?」


「「だ、大丈夫!!」」


ピッタリと声が合わさる2人に仲良いなぁと思いながら「へへっ」と笑うと、ラディが俺の頭を撫でる。



「リツも、今日すごく可愛い……」

「むぅ……俺だってかっこいいがいい」

「んーそれは無理だなぁ、だってリツは誰よりも可愛いもん」


……真剣な目で言う2人に不満を覚える。


俺だって今日、ラディやライオネルと同じような正装を着ているのに何故か俺だけは、使用人やパール様達に可愛いと言われるのだ。

髪のセットだって俺は後ろで1つに纏めた方がかっこいいと思って侍女さんに伝えたのに断固拒否され、最終的に前髪から右耳にかけて編み込みをして肩上まで伸びたストレートな髪はそのまま下ろす形になった。

身支度が完了した時には皆が可愛いを連呼していて俺はいたたまれなくなったのだが、ラディに褒められるのはちょっと嬉しかった。


……まぁ、まだ成長期だし……ラディ達の成長が早いだけだし……俺だっていつか……。


望み薄な希望を抱き、俺達を乗せた馬車は、王城へと続く門を通ったのだった……。







馬車が王城へと到着すると暫くしてドアが開く。

ラディやライオネルは身長も高く運動神経も良いから、なんでもない様に馬車から降りるけどーーーー小さい俺にはこの馬車かなり高いんだよ…。

どう降りようか悩んでいると、先に降りたラディが手を広げて待っていてくれた。


「リツ……おいで」


「え、で……でも…」


「大丈夫、怖くないから」


「う、うん……」


そう言って勢いよくラディの腕の中に飛び込むと、ギュッと受け止めてくれるラディ。
俺が勢い良く飛び込んでもビクともしない、安定したその身体に包まれるととても安心する。


「あ、ありがとうラディ」

「うん、どういたしまして」


顔を赤らめた俺を降ろし楽しそうに微笑むラディは、腰を屈めチュッと俺のおでこに触れるだけのキスをした。
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