明くる日の明星に。

ボロボロのビデオテープに入った、ある男の証言について。

男は語る。

「彼女はとても美しく、愛らしい人でした。」

どこまでも無垢で純粋な彼女は、幼馴染と幸せに暮らすはずでした。

でもある時、赤い髪の娼婦に全てを奪われます。

家族も、友達も、恋人も。何もかもを。

全てが終わったあと、赤い髪の娼婦のお面がはずれて、皆は夢から覚めました。

でも、終わっていました。もう遅かったんです。僕達は間に合わなかった。

「だからこれは、僕達の罰で罪です。」

直後…爆炎が男の姿を飲み込んだ。





ーテープが止まる。

「少し巻き戻して。後ろ。そうそこ、拡大して。」

そこに写っていたのは、世界を引き裂き、膿ませて、腐敗させ、それでもまだ足りずに暴れまわって、最期に美しく消えていった最愛の女。

「君はこんな時でも美しかったんだな。」

そっと画面を撫でた。

「彼女は御母堂に会えたのだろうか。花は渡せただろうか。」

それは神のみぞ知るところ。


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