エルロポスの神話 あるいは、決して楽ではない神様「への」転生

 せっかく社会人になれたというのに、インフルエンザからの肺炎で死んでしまった上村公平。
 ぶっつりとなにかが、人生が終わって。
 次に目覚めた時、彼は神様になっていた。
 そもそも死んだのに目覚めるというのがおかしいのだが、自分のものでないのに自分の中にある記憶によれば、どうも転生というものをしたらしい。
 ただ前世で聞いた話と違っていたのは、転生というものの候補には異世界の神様などという代物が含まれていたこと。
 この世界における神の生誕とは、世界の外側に荒れ狂う無限力・混沌に形を与えることで制御してとりこみ、世界を大きく強くするための手段なのだという。
 しかし、最近はネタが枯渇気味。困った創世神が転生予定の魂をのぞきこみ、なにかヒントでもないかと探ったところ、前世である人間がオンラインゲームでずばり神様に転生したキャラクターを使っていた。それもなかなかに強力なものを。
 これはよい、とゲームデータから逆算してリアルに落としこんだ姿形と能力、装備に付属品まで与えて生まれたのが、天空神エルロポス。
 いまの彼であった。
 かつて趣味増し増しで作ったキャラクターと同じ姿に転生。ちょっとした羞恥プレイである。
 いずれ創世神には一言物申さねばなるまい、主に拳で。
24h.ポイント 0pt
0
小説 184,651 位 / 184,651件 ファンタジー 42,484 位 / 42,484件