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第25話 テレーズさんのお昼ご飯
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「では、寮のキッチンを借りて参ります」
「あ、私も手伝うよー」
「え? ルーシー様?」
「いやー、私も料理の勉強をしたいんだよねー」
「……本気ですか?」
辺境に飛ばされた後、この世界の食材でどんな料理が作れるのかを学ぶ為に、テレーズさんの料理を手伝うと言ったんだけど、凄い目を向けられてしまった。
……まぁよく考えたら、ルーシーって一応は伯爵令嬢なのよね。
なのに、いきなり料理を手伝いたいって言ったら、こうなるか。
「えっとね、テレーズさんには言ってなかったけど、私この学園に入って、菜園クラブに入ったの。で、自分で育てた野菜を、自分で料理してみたいなーって思って」
「る、ルーシー様が菜園クラブ!? ご、ご自身でお野菜を育てているのですか? 誰かに顎で指示をして作らせている訳ではなく?」
「そんな事する訳ないでしょ。というか、顎で使えるような人なんて居ないし、居てもそんな事しないし」
「……あの入学式前日に突然性格が変わってしまう前でしたら大いにあり得ますが。一先ず、承知しました。では、参りましょう」
テレーズさんが大きな寸胴のお鍋とバスケットを持ち、キッチンへ。
バスケットの中から食材と調理器具を取り出すと、手際良く下ごしらえしていく。
ニンジンの皮剥きに、ブロッコリーっぽい野菜のカット。それから水魔法でお鍋に水を注いで……
「って、待って。手際が良過ぎて思わず見入っちゃったけど、私何も手伝ってないんだけど!」
「あ、すみません。忘れてました。では、鍋に火を着けてもらえますか?」
「……どうして、寄りによって、それなの? 他のなら出来たのに」
「え? ルーシー様は火魔法がお得意でしたよね?」
「……そ、そうなんだ。いやー、実はちょっと魔法が不安定で……」
言われて見れば、確かにルーシーは火魔法を使ってきたわね。
で、ときメイでは軽いボヤ騒ぎを起こしてしまい、それを主人公のせいにしようとしてバレるっていう、悪役令嬢らしい事もしていた気がする。
まぁ、これは主人公が誰のルートに進むかによって、発生したりしなかったりするイベントだけど。
「ごめんなさい。火にかけるのは、任せて良いかしら?」
「構いませんが……私は火魔法が使えませんので、
他の方法ですが」
そう言ってテレーズさんが、文庫本くらいの小さな金属の板を取り出すと、その上に具材を入れた鍋を乗せて蓋をする。
「テレーズさん。それは?」
「え? ヒート・プレートですが。それほど珍しくもないですけど?」
ヒート・プレート……名前と形状。それから、上にお鍋を乗せた事から考えられるのは、異世界のホットプレートか、IHコンロ!?
そう考えながら暫くお鍋の様子を見ていると、なにもしていないのに、グツグツとお鍋が煮たってきた!
やっぱり! テレーズさんは火魔法が使えないって言っていたから、あれさえあれば、私も自分でお米が炊けるっ!
「テレーズさん。お願いがあるんですけど」
「何でしょうか? 今から、やっぱり食べたい物がある……とかは、やめてくださいね?」
「流石にそんな事は言わないわよ。そうじゃなくて、そのIH……じゃなくて、ヒート・プレートって、何処に行けば売っているか教えて欲しいの」
「ヒート・プレートですか? これなら、その辺の魔道具屋で買えますけど……午後から買いに行きますか?」
「是非、お願いっ!」
やったぁぁぁっ! お米……お米が炊けるよぉぉぉっ!
「あ、私も手伝うよー」
「え? ルーシー様?」
「いやー、私も料理の勉強をしたいんだよねー」
「……本気ですか?」
辺境に飛ばされた後、この世界の食材でどんな料理が作れるのかを学ぶ為に、テレーズさんの料理を手伝うと言ったんだけど、凄い目を向けられてしまった。
……まぁよく考えたら、ルーシーって一応は伯爵令嬢なのよね。
なのに、いきなり料理を手伝いたいって言ったら、こうなるか。
「えっとね、テレーズさんには言ってなかったけど、私この学園に入って、菜園クラブに入ったの。で、自分で育てた野菜を、自分で料理してみたいなーって思って」
「る、ルーシー様が菜園クラブ!? ご、ご自身でお野菜を育てているのですか? 誰かに顎で指示をして作らせている訳ではなく?」
「そんな事する訳ないでしょ。というか、顎で使えるような人なんて居ないし、居てもそんな事しないし」
「……あの入学式前日に突然性格が変わってしまう前でしたら大いにあり得ますが。一先ず、承知しました。では、参りましょう」
テレーズさんが大きな寸胴のお鍋とバスケットを持ち、キッチンへ。
バスケットの中から食材と調理器具を取り出すと、手際良く下ごしらえしていく。
ニンジンの皮剥きに、ブロッコリーっぽい野菜のカット。それから水魔法でお鍋に水を注いで……
「って、待って。手際が良過ぎて思わず見入っちゃったけど、私何も手伝ってないんだけど!」
「あ、すみません。忘れてました。では、鍋に火を着けてもらえますか?」
「……どうして、寄りによって、それなの? 他のなら出来たのに」
「え? ルーシー様は火魔法がお得意でしたよね?」
「……そ、そうなんだ。いやー、実はちょっと魔法が不安定で……」
言われて見れば、確かにルーシーは火魔法を使ってきたわね。
で、ときメイでは軽いボヤ騒ぎを起こしてしまい、それを主人公のせいにしようとしてバレるっていう、悪役令嬢らしい事もしていた気がする。
まぁ、これは主人公が誰のルートに進むかによって、発生したりしなかったりするイベントだけど。
「ごめんなさい。火にかけるのは、任せて良いかしら?」
「構いませんが……私は火魔法が使えませんので、
他の方法ですが」
そう言ってテレーズさんが、文庫本くらいの小さな金属の板を取り出すと、その上に具材を入れた鍋を乗せて蓋をする。
「テレーズさん。それは?」
「え? ヒート・プレートですが。それほど珍しくもないですけど?」
ヒート・プレート……名前と形状。それから、上にお鍋を乗せた事から考えられるのは、異世界のホットプレートか、IHコンロ!?
そう考えながら暫くお鍋の様子を見ていると、なにもしていないのに、グツグツとお鍋が煮たってきた!
やっぱり! テレーズさんは火魔法が使えないって言っていたから、あれさえあれば、私も自分でお米が炊けるっ!
「テレーズさん。お願いがあるんですけど」
「何でしょうか? 今から、やっぱり食べたい物がある……とかは、やめてくださいね?」
「流石にそんな事は言わないわよ。そうじゃなくて、そのIH……じゃなくて、ヒート・プレートって、何処に行けば売っているか教えて欲しいの」
「ヒート・プレートですか? これなら、その辺の魔道具屋で買えますけど……午後から買いに行きますか?」
「是非、お願いっ!」
やったぁぁぁっ! お米……お米が炊けるよぉぉぉっ!
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