【短編】叶うなら、もう一度あなたに会いたい 〜不思議な縁〜


『あなたの恋の相談、お聞きします』

古びた看板には、そう書かれていた。
興味を惹かれた私はお店に入ると、中は薄暗く、ガラクタが沢山置かれた棚ばかり。
狭い店内を進むと、スノードームの中に枯れた木が入っている不思議な物があった。
店主と思われる、綺麗な顔立ちの和装の男性。

「丁度いい、見ていくか?」

なりゆきで私は、恋愛相談にきた女性の話を店主さんと一緒に聞くことになって……?

◆◆◆

……桜は嫌いだ。
もう一度だけでも良い──、あなたに会いたい。
そんな小さな願いすら生涯叶わないのだと、脳裏に焼きついている桜に言われているみたいだから。

幼い頃の記憶。
あの日、あなたに見せてもらった満開の桜は鮮明に思い出せるのに。

あなたの声も顔も思い出せない──。

「愛してるって伝えたい」

嫌いだった桜が幸運の桜に変わる。
そんな日の、ちょっぴり不思議なお話です。


◆12/31
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