君はずっと、その目を閉ざしていればいい

 石畳の間に咲く小さな花を見た彼女が、その愛らしい顔を悲しそうに歪めて「儚くて綺麗ね」とそっと呟く。
 一体何が儚くて綺麗なのか。
 彼女が感じた想いを少しでも知りたくて、僕は目の前でその花を笑顔で踏みにじった。

「――ああ。本当に、儚いね」


兄の婚約者に横恋慕する第二王子の歪んだ恋の話。主人公の恋が成就することはありません。

また、作中に気分の悪くなるような描写が少しあります。ご注意下さい。


小説家になろう様でも公開しています。
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