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スピンオフ集
ルーフは料理長の息子
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私もいつまでも、しゃがんだまま見上げるのも流石に礼にに欠ける思ったから窓の縁を支えにしながら立ち上がる。
あれ? 立ち上がってみるとよく分かるのだがルーフは背が小さい方のだな。私の胸あたりまでしかないじゃないか。ジャンでさえ私の鼻辺りの身長はあるぞ。
となると、やはり身長はアンリに似たのだろうな。
「えっと……王子様、じめまして! 料理長のジャンと副料理長のアンリの子どものルーフと申し上げます!えっとその、来年に殿下の後輩としてアカデミーに入学させていた、、いただきゃます」
「うん。よろし……く……?フフッ」
ルーフが勢いよく頭を下げた時に、その頭が私のお腹辺りにポスンと当たってしまったのだ。 少しくすぐったくて笑ってしまった。 すぐにジャンはルーフの頭を再度叩いている。
「あはは! うん、よろしくねルーフ」
「すみません、王子様! メガネを外していたもので距離感間違えてたみたいです!!」
アンリもジャンも、それからその他のシェフも顔面蒼白にしている様子だけど私はこの位のことでは怒らない。 そしてアンリもボソッと呟いていたけど、この場にウィンストンが居なくて良かったと思う。
「は、はひ!王子様、よろしくお願いします」
もう一度我に返ったのか挨拶を繰り返すルーフが可愛らしくて、つい目を細めてしまった。その拍子にルーフが後ずさったのはちょっと納得できかねるけども。
それにしてもアンリもジャンも自分の意見を持っているタイプだから、二人の容姿を併せ持っているようなルーフがビクビクとしているのが面白おかしい。
「で、王子様は、表からじゃなくてどうして窓口から?それにウィンストン様は?」
「えーと……へへ。」
私が笑って誤魔化そうとすれば、アンリは肩を竦めて苦笑いしていた。 それから、午前の授業が終わり、ウィンストン様を待たずに外に出てきたのですか、と正論を言われてしまった。あまりにもその通りがすぎて返す言葉も見つからなかった。
「でも本当に、王子様何事もなくて良かったです……」
ジャンもアンリのその言葉に首を何度も縦に降って頷いていた。
それにしても気が付いたらルーフは隅っこの方に移動している。 来年から一緒に話す仲なのだからそんなに怯えられると困るし、もう少しお話をしたかったのだがな。
「まあ、アレクサンダー殿下。それはそれとしてウィンストン殿に叱られて下さないな?」
「へ?」
アンリが突然、目を閉じながら呆れたようにそう言った直後、私の肩に誰かの手が乗っかるのが分かる。
ゆっくりと後ろを振り向くとそこに佇んでいたのは……。
「うぃ……ウィンストン」
「授業が終わったら部屋で待っているように、言いましたよね?」
目を左右に何度も揺らしながら言い訳を考えようとしてみたがそれらしい言い訳も思い浮かばずに首を縦に降って肯定するしかなかった。
「少し休憩しようと思って窓を開けた途端に、庭で転がっている殿下を見て本当にびっくりしたんですからね」
「それはすまなかったと思っている……すこしむしゃくしゃしてしまってたんだ」
そう言えば、少し眉を八の字にして深く深呼吸したウィンストンは笑顔で、冷えるから部屋に戻りますよと言ってくれた。良かった、そこまで説教は長引かない見たいだ。
すると、後ろの方でルーフがボソッとと「あのウィンストンさんが優しい?」と言っているのが聞こえたから、あのウィンストン?と私も呟くと「ぐえっ」と変な声が後ろから聞こえてきた。
「あぁ、すみません。少々勢いよく投げすぎました。 その書類は今月の報告書なのでジャンも記入の方を頼みましたよ」
変な音の正体はウィンストンが持っていた書類らしい、それが勢いよくルーフの顔にあたったようだ。
……絶対に、これわざとやっているよな? そう思って顔を合わせようとしてみるが一切合わない。 すまし顔が少し気に入らなくて軽くウィンストン背中をぽすぽすと叩いた。
「それと、再来月の学園の入学に合わせて制服が夕方には届くそうですよ」
「え! 制服! もう来るのか」
今までの出来事も忘れてしまうかのような、報告にあまりの嬉しさでつい跳ね上がってしまった。 それにしても先月採寸をしたばかりだったから少々驚いてしまった。
何にせよ、小さい頃から城に併設(とは言っても馬車で十分はかかる距離だが)されている学園に通う生徒たちを見る度にカッコイイなと思っていたからいざ、自分がそれを着る事が出来る番だと思うと嬉しくて仕方ない。
紺色のジャケットに縫われる金色の留めボタン。それから黒い半ズボンに白い膝上までのソックス。そして白い肩のマントがとても映えており、ジャケットに合わせた装飾のある帽子もとってもかっこいいんだ。 とにかく全てがカッコイイ制服。
王族や、高位貴族等はこの学園への入学は決まっているがその他の者も必死に勉強をして入りたがる理由の上位になるほどまで制服は洗練とされていてカッコイイのだ。
そうしてウィンストンに軽く背中を押されながら、ワクワクとした気持ちでその場を後にする事にした。
「ルーフも早く来年になって制服が届くと良いな!」
最後にもう一度、厨房の方を振り返ってルーフに叫べば、控えめにルーフも手を振り返してくれた。 本当に可愛い。
気付けば曇っていたはずの私の気持ちはいつの間にか晴れていた。
あれ? 立ち上がってみるとよく分かるのだがルーフは背が小さい方のだな。私の胸あたりまでしかないじゃないか。ジャンでさえ私の鼻辺りの身長はあるぞ。
となると、やはり身長はアンリに似たのだろうな。
「えっと……王子様、じめまして! 料理長のジャンと副料理長のアンリの子どものルーフと申し上げます!えっとその、来年に殿下の後輩としてアカデミーに入学させていた、、いただきゃます」
「うん。よろし……く……?フフッ」
ルーフが勢いよく頭を下げた時に、その頭が私のお腹辺りにポスンと当たってしまったのだ。 少しくすぐったくて笑ってしまった。 すぐにジャンはルーフの頭を再度叩いている。
「あはは! うん、よろしくねルーフ」
「すみません、王子様! メガネを外していたもので距離感間違えてたみたいです!!」
アンリもジャンも、それからその他のシェフも顔面蒼白にしている様子だけど私はこの位のことでは怒らない。 そしてアンリもボソッと呟いていたけど、この場にウィンストンが居なくて良かったと思う。
「は、はひ!王子様、よろしくお願いします」
もう一度我に返ったのか挨拶を繰り返すルーフが可愛らしくて、つい目を細めてしまった。その拍子にルーフが後ずさったのはちょっと納得できかねるけども。
それにしてもアンリもジャンも自分の意見を持っているタイプだから、二人の容姿を併せ持っているようなルーフがビクビクとしているのが面白おかしい。
「で、王子様は、表からじゃなくてどうして窓口から?それにウィンストン様は?」
「えーと……へへ。」
私が笑って誤魔化そうとすれば、アンリは肩を竦めて苦笑いしていた。 それから、午前の授業が終わり、ウィンストン様を待たずに外に出てきたのですか、と正論を言われてしまった。あまりにもその通りがすぎて返す言葉も見つからなかった。
「でも本当に、王子様何事もなくて良かったです……」
ジャンもアンリのその言葉に首を何度も縦に降って頷いていた。
それにしても気が付いたらルーフは隅っこの方に移動している。 来年から一緒に話す仲なのだからそんなに怯えられると困るし、もう少しお話をしたかったのだがな。
「まあ、アレクサンダー殿下。それはそれとしてウィンストン殿に叱られて下さないな?」
「へ?」
アンリが突然、目を閉じながら呆れたようにそう言った直後、私の肩に誰かの手が乗っかるのが分かる。
ゆっくりと後ろを振り向くとそこに佇んでいたのは……。
「うぃ……ウィンストン」
「授業が終わったら部屋で待っているように、言いましたよね?」
目を左右に何度も揺らしながら言い訳を考えようとしてみたがそれらしい言い訳も思い浮かばずに首を縦に降って肯定するしかなかった。
「少し休憩しようと思って窓を開けた途端に、庭で転がっている殿下を見て本当にびっくりしたんですからね」
「それはすまなかったと思っている……すこしむしゃくしゃしてしまってたんだ」
そう言えば、少し眉を八の字にして深く深呼吸したウィンストンは笑顔で、冷えるから部屋に戻りますよと言ってくれた。良かった、そこまで説教は長引かない見たいだ。
すると、後ろの方でルーフがボソッとと「あのウィンストンさんが優しい?」と言っているのが聞こえたから、あのウィンストン?と私も呟くと「ぐえっ」と変な声が後ろから聞こえてきた。
「あぁ、すみません。少々勢いよく投げすぎました。 その書類は今月の報告書なのでジャンも記入の方を頼みましたよ」
変な音の正体はウィンストンが持っていた書類らしい、それが勢いよくルーフの顔にあたったようだ。
……絶対に、これわざとやっているよな? そう思って顔を合わせようとしてみるが一切合わない。 すまし顔が少し気に入らなくて軽くウィンストン背中をぽすぽすと叩いた。
「それと、再来月の学園の入学に合わせて制服が夕方には届くそうですよ」
「え! 制服! もう来るのか」
今までの出来事も忘れてしまうかのような、報告にあまりの嬉しさでつい跳ね上がってしまった。 それにしても先月採寸をしたばかりだったから少々驚いてしまった。
何にせよ、小さい頃から城に併設(とは言っても馬車で十分はかかる距離だが)されている学園に通う生徒たちを見る度にカッコイイなと思っていたからいざ、自分がそれを着る事が出来る番だと思うと嬉しくて仕方ない。
紺色のジャケットに縫われる金色の留めボタン。それから黒い半ズボンに白い膝上までのソックス。そして白い肩のマントがとても映えており、ジャケットに合わせた装飾のある帽子もとってもかっこいいんだ。 とにかく全てがカッコイイ制服。
王族や、高位貴族等はこの学園への入学は決まっているがその他の者も必死に勉強をして入りたがる理由の上位になるほどまで制服は洗練とされていてカッコイイのだ。
そうしてウィンストンに軽く背中を押されながら、ワクワクとした気持ちでその場を後にする事にした。
「ルーフも早く来年になって制服が届くと良いな!」
最後にもう一度、厨房の方を振り返ってルーフに叫べば、控えめにルーフも手を振り返してくれた。 本当に可愛い。
気付けば曇っていたはずの私の気持ちはいつの間にか晴れていた。
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