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スピンオフ集
制服に胸が高鳴るアレクサンダー
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「アレクサンダー殿下、仕立て屋の者が参りました」
「ん! 今行く!」
控えめなノック音と共にドア越しからメイドが報告をしてくれた。おそらくウィンストンは既に仕立て屋の相手でもしているのだろう。
午後の予定は特になかったため、私室のベットで横になりながら、すでに熟知している地理の本等をパラパラと捲ってみたり、本を目隠しに、仮眠をとってみたりと自由気ままに過ごしていた。
制服が夕方に届くと分かってからはどうしようもなくワクワクと、気持ちが浮かれてしまって、集中する事が出来なかったのだ。
だからこそ、報告を受けた私はあんまりの嬉しさに勢いよく起き上がって、客間へと急ぎ足でコツコツコツと広い廊下を進む。本当なら勢いよ走り回りたいところだが、そんな姿を客人に見せる訳にも行かないから。
そして目的地にやってきた私は、ドアの前で一つ呼吸をしてから勢いよく中に入る。 しかし次の瞬間、私の前には二つの頭が迫ってきた。
「「やあやあ! アレクサンダー王子殿下! 王族御用達の仕立て屋でございます」」
「「こら! 私の真似をするなジェン」」
「「それはこちらのセリフ……なーんちゃって! 僕たちいつも仲良しですよー!」」
客間に入るや否や、この双子はリズムカルにいつも通りの自己紹介をしてきた。いつもなら「こら!」の辺りで彼らの父親であるキャンデーが双子にチョップをするのだが、今日は見当たらないな。
「ジェン、ジェラ! 久しぶりだな! 待ってたぞ」
「ご無沙汰しております、王子様」
それにしても二人に会うのは本当に久しぶりだ。二人が入学する前に会ったのが最後だから軽く二年は会えていなかったかな。
幼少期、なんなら赤ちゃんの頃から付き合いのある幼馴染に思わず二人にぎゅっとハグをしてしまった。そして向こうからも返してもらった。
まぁ、とは言っても彼らは私の二つも歳上だから、学園に入学したら先輩って呼ばないと行けないんだけどね。
「アレクサンダー殿下、今は公式の場でございますよ」
近くに控えていた、ウィンストンが一つ咳払いをしてから忠告をされた。分かってるよ。なんならさっきからムスッとしていたの気付いてて、見て見ぬふりをしていた。てへ。
「今日はキャンデーは来ていないのかい?」
「えぇ、実はオーナーのキャンディウスはちょっと腹痛で……来れそうになくて」
ジェラが眉を下げて申し訳なさそうに伝えている横でジェンが笑いをこらえるかのように肩を震わせているのが気になった。どうしたんだろう?
「ジェン……?」
「父さん……オーナーがっっっヒヒッ……ふっ」
「ジェン! 今は公式の場だとウィンストン様も言っていただろう!」
私もジェンに釣られてつい笑ってしまいそうになる。慌てて咳払いで誤魔化したからバレてないはずだ。それにしても一体何があったのか、ついにはジェンがその場でヒーヒーと笑い転げてる。
「ウィンストン様、多分このままだと話にならないのでジェンを外に連れ出してもらっても良いですか?……庭にでも出しておいてください」
ジェラがウィンストンにそう頼むと、ウィンストンは速攻でジェンを客間の外へと首元を掴んで連れ出してた。それも爆速で。
「あはははー!」
それにも関わらずジェンはニコニコと笑いながら容赦なく引きずられていった。流石に怖いぞ、ジェン。そう思いながらも私も彼に対して軽くてを降っておいた。また後での意味も込めて。
それにしても珍しくウィンストンも穏やかそうに見守ってくれているとは思っていたが意外とキレていたのかもしれない。話が進まないものだから。
いつも思うがジェンの方が兄なのに弟であるジェラの方がとてもしっかりとしているよなぁ。本当に。 たまにどっちが年上か分からなくなる。
そしてついに私は本題を切り出した。少し冷静になろうと思ったがやはり嬉しさは隠しきれないようで、ついつい体を左右にゆらゆらしてしまった。
「ジェラ……今日は制服が仕上がったそうだな?」
「ん! 今行く!」
控えめなノック音と共にドア越しからメイドが報告をしてくれた。おそらくウィンストンは既に仕立て屋の相手でもしているのだろう。
午後の予定は特になかったため、私室のベットで横になりながら、すでに熟知している地理の本等をパラパラと捲ってみたり、本を目隠しに、仮眠をとってみたりと自由気ままに過ごしていた。
制服が夕方に届くと分かってからはどうしようもなくワクワクと、気持ちが浮かれてしまって、集中する事が出来なかったのだ。
だからこそ、報告を受けた私はあんまりの嬉しさに勢いよく起き上がって、客間へと急ぎ足でコツコツコツと広い廊下を進む。本当なら勢いよ走り回りたいところだが、そんな姿を客人に見せる訳にも行かないから。
そして目的地にやってきた私は、ドアの前で一つ呼吸をしてから勢いよく中に入る。 しかし次の瞬間、私の前には二つの頭が迫ってきた。
「「やあやあ! アレクサンダー王子殿下! 王族御用達の仕立て屋でございます」」
「「こら! 私の真似をするなジェン」」
「「それはこちらのセリフ……なーんちゃって! 僕たちいつも仲良しですよー!」」
客間に入るや否や、この双子はリズムカルにいつも通りの自己紹介をしてきた。いつもなら「こら!」の辺りで彼らの父親であるキャンデーが双子にチョップをするのだが、今日は見当たらないな。
「ジェン、ジェラ! 久しぶりだな! 待ってたぞ」
「ご無沙汰しております、王子様」
それにしても二人に会うのは本当に久しぶりだ。二人が入学する前に会ったのが最後だから軽く二年は会えていなかったかな。
幼少期、なんなら赤ちゃんの頃から付き合いのある幼馴染に思わず二人にぎゅっとハグをしてしまった。そして向こうからも返してもらった。
まぁ、とは言っても彼らは私の二つも歳上だから、学園に入学したら先輩って呼ばないと行けないんだけどね。
「アレクサンダー殿下、今は公式の場でございますよ」
近くに控えていた、ウィンストンが一つ咳払いをしてから忠告をされた。分かってるよ。なんならさっきからムスッとしていたの気付いてて、見て見ぬふりをしていた。てへ。
「今日はキャンデーは来ていないのかい?」
「えぇ、実はオーナーのキャンディウスはちょっと腹痛で……来れそうになくて」
ジェラが眉を下げて申し訳なさそうに伝えている横でジェンが笑いをこらえるかのように肩を震わせているのが気になった。どうしたんだろう?
「ジェン……?」
「父さん……オーナーがっっっヒヒッ……ふっ」
「ジェン! 今は公式の場だとウィンストン様も言っていただろう!」
私もジェンに釣られてつい笑ってしまいそうになる。慌てて咳払いで誤魔化したからバレてないはずだ。それにしても一体何があったのか、ついにはジェンがその場でヒーヒーと笑い転げてる。
「ウィンストン様、多分このままだと話にならないのでジェンを外に連れ出してもらっても良いですか?……庭にでも出しておいてください」
ジェラがウィンストンにそう頼むと、ウィンストンは速攻でジェンを客間の外へと首元を掴んで連れ出してた。それも爆速で。
「あはははー!」
それにも関わらずジェンはニコニコと笑いながら容赦なく引きずられていった。流石に怖いぞ、ジェン。そう思いながらも私も彼に対して軽くてを降っておいた。また後での意味も込めて。
それにしても珍しくウィンストンも穏やかそうに見守ってくれているとは思っていたが意外とキレていたのかもしれない。話が進まないものだから。
いつも思うがジェンの方が兄なのに弟であるジェラの方がとてもしっかりとしているよなぁ。本当に。 たまにどっちが年上か分からなくなる。
そしてついに私は本題を切り出した。少し冷静になろうと思ったがやはり嬉しさは隠しきれないようで、ついつい体を左右にゆらゆらしてしまった。
「ジェラ……今日は制服が仕上がったそうだな?」
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