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23話

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 私の目の前にはレーリアの背中があって、そのレーリアの足下には兵士長が倒れている。

 さっきまで私を殺そうとしていた人を倒してくれたレーリアが、振り向かずに私に話を始めて。

「この男は私の魔法で昏睡させました。路地裏の外に置いて意識を戻せば、アカネ様を始末したと勝手に思い込み――」

「――レーリア!」

 危なかった……死ぬかもしれないことに恐怖を感じていた私は、咄嗟にレーリアの背中に抱きついてしまう。

 未だに身体が震えていて、レーリアが振り向きながら、私を抱きしめて。

「もう少し早く助けに入りたかったのですが……少し問題が発生しました。早急にこの国を出ます」

 早急にこの国を出ると言われたから、私はレーリアを抱きしめていた腕を放す。

 その瞬間に、レーリアが後ろに下がるけど……私はレーリアを見上げて、唖然とするしかない。

「えっ? あの……レーリア、よね?」

「はい。話は後にしましょう」

 眼鏡を外したレーリアの左目の下には泣きぼくろがあって、美しい紅の少し細く美しい瞳だった。

 とてつもない美青年で、あの眼鏡を外しただけでここまで違うのかと、あの眼鏡の力に驚くしかない。

 何か問題が発生したみたいだけど……絶対にマミカとミユキが止めたのでしょう。

 レーリアが私に手を伸ばしているけど、こんな美青年と手を繋いで大丈夫なのか不安になってしまう。

「アカネ様?」

「え、えっと……私なんかがレーリアと手を繋いで、その、いいの?」

「当たり前です。食材を買ってから国外に出たかったのですが、急ぎましょう」

「はっ、はい……」

 今までも普通に渦巻き眼鏡でも絶対美青年だと思っていたけど、実際眼鏡を外すとドキドキするしかない。

 これは死にそうになっていた場面を助けてくれたのもあると思うけど……これから私は、レーリアと一緒に行動するの?

 自分で提案しておいて信じられないけど……契約もしているし、私もレーリアのために行動しよう。

 レーリアは焦っている様子だけど、そこまでの問題が発生したのかが気になってしまう。

 後でレーリアから聞こうと決意して――私達は、この国を出ようとしていた。
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