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79話

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 塔を守護するゴーレムは巨大な蛇の形をしていて、体を振るうことで繰り出される衝撃波をレーリアが防いでくれている。

 皆が数分戦って――どうやらあのゴーレムの攻撃方法は、迫っている人を体当たりで薙ぎ払いながら衝撃波を繰り出して、距離をとられたら口から土砂を勢いよく飛ばすだけのようだ。

 単純だけどとてつもない速度で繰り出される攻撃に、ウォルとロドリゴが防戦一方になっている。

 私の料理を食べているウォルは対応できているけど、ロドリゴは苦戦していた。

 レーリアとゾートが魔法で攻撃を仕掛けると……レーリアの魔法を受けて怯むも、ゾートの魔法による攻撃では反応すらしていない。

 昨日のゴーレムとは次元が違う……レーリアが、ゴーレムに魔法を繰り出しながら。

「……ここまでとは、来月まで待って、ウォルを鍛えておくべきでした」

 私の前で盾になってくれているレーリアが、後悔するように呟いているのが聞こえた。

 鍛えておくというのは、ウォルに私の料理を1ヶ月間食べさせておけばよかったということでしょう。

 食べたのは昨日の料理と朝食だけ――ウォルの動きはそれでも昨日とは段違いで、ロドリゴが驚いている。

 今のところダメージを与えているのはレーリアの魔法だけで、このままだとロドリゴとゾートのどちらかがやられるかもしれない。

「ど、どうすれば……」

 そう考えていた時――ロドリゴを庇って、ウォルが私の元に吹き飛んでくる。

「ウォル!?」

「ぐっ……こんなに強いとは思わなかったけど、まだ戦える!」

 そう言ってウォルは前に飛び出したけど――怪我をしていた。

 私とレーリアのために、ウォルは前衛で身体を張ってくれている。

 レーリアも私を守るために動いてくれて……私だけが何もできていない。

 私も、皆の力になりたい。

 料理スキル以外で、何か――そう考えていると、私は頭が真っ白になってしまう。

 すぐに元に戻ったけど……ただ立っているだけで、とてつもない緊迫感が全身を襲う。

 力が溢れてくる感覚を受けるけど、私自身は何も強くなっている感じではない。

 それが奇妙で戸惑っていると、振り向いたレーリアが私を眺めて驚き。

「……どうやらアカネ様の意志によって、契約して同調しているウォルが覚醒したようです」

 どこか悔し気な様子で、レーリアがそんなことを呟いている。

 リスクを負ってでも強くなると決意すれば、お互い強化される……どうやらウォルも、私と同じで強くなりたいと考えていたようだ。

 戦いが終わった後、どうなるかわからないけど……今は塔の破壊を優先したかった。
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