だから魔王は死んだ
人間と魔物が長きにわたって争い続ける世界。
人神に選ばれた「勇者」と、魔神によって生み出された「魔王」。
二つの存在は決して相容れないものだと、誰もが信じていた。
そんな世界で、人神に選ばれた平民の青年――ルーク・マルスは、三人の仲間とともに魔王討伐の旅へ出る。
大魔法使いを目指す少女、ニーナ・マルステラ。
剣豪を目指す青年、グルーヴ・ガイル。
そして僧侶、アザリ・ケイレス。
それぞれが類まれな才能を持つ中、勇者であるルークの能力は決して突出したものではなかった。
しかし、彼には仲間の力を見極め、戦況を読み、誰よりも冷静に戦う才能があった。
最初は彼を「普通の勇者」と思っていたニーナも、幾度もの戦いを経て、その本当の力に気づいていく。
そして七年に及ぶ旅の末――
四人はついに魔王の城へ辿り着く。
死闘の末、彼らは魔王を倒した。
王国を救った英雄として称えられた四人。
世界はこう記録した。
――勇者たちは、魔王を討ち果たしたのだと。
しかし、それから一年も経たないうちに。
勇者ルーク・マルスは、忽然と姿を消した。
なぜ勇者は消えたのか。
本当に魔王は死んだのか。
そして、あの戦いの最後に何があったのか。
王国新聞の二人の記者は、真実を追うため、かつて勇者と旅をした三人の仲間を訪ねていく。
その中で大魔法使いニーナが語ったのは、かつての仲間――勇者ルークの姿だった。
「私にとって、勇者は希望だったわ」
だが、彼女が語る「魔王を倒した」という言葉には、どこか奇妙な違和感があった。
そして彼女の記憶に残っていた、ルークの最後の言葉。
「これで……本当にいいのかな」
勇者と魔王。
英雄と世界の敵。
誰もが知っているはずだった物語は、まだ終わっていなかった。
――これは、魔王が死んだ「その後」から始まる物語。
そして、誰も知らない勇者と魔王の真実を追う物語。
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