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【ソルベンside】怪我が治癒しない
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痛い痛い痛いっ!
どうして偉大なるゼーレ王国の第16代国王に内定している王太子である余がこんな目にっ!
余は現在、激痛で苦しんでいた。
激痛の原因は卒業パーティーで反逆者のロザリアに殴られた箇所が痛むからだ。
殴られた怪我など宮廷治癒術師に治させればいいと思ったが、変な呪いが掛かっていた所為で怪我は治らなかった。
つまり、余は現在、
右眼に青タンがあり、
顎は砕かれ、
歯も4本折れ、
側頭部もヒビが入り、
それはもうあり得ない激痛に苦しんでいた。
宮廷治癒術師の話では治癒出来ないらしい。
お陰で、激痛に苛まれながら、余をこんな目に遭わせた反逆者ロザリアを捕らえるべく命令を出した時には(激痛過ぎてロザリア捕縛の命令を出したのは2日後だった。無論、こっちは顎が砕かれて喋れないので筆談でだ。途中でマジックアイテムでの【念話】となったが)逃げられてた。
クソォ~。
余が苦しんでる隙に逃げるとはっ!
あの反逆者だけは絶対に許さんっ!
捕らえて拷問で歯を1本1本、余が自ら抜いてやるぞ。
そんな訳で騎士団に追跡をさせている。
女の足だ。
遠くへは逃げれまい。
逃走に使った貴族車は処分されてたらしいからな。
当然、追跡を派遣するだけではない。
ロザリアの家族や屋敷に居た使用人らも全員捕縛している。
王太子の余を殴ったのだ。
つまりは反逆者の一族だ。
貴族だろうと容赦はしない。
拷問を掛けて居場所を聞き出して最中だ。
全員、ロザリアを庇って拷問に耐えてるらしいが。
馬鹿な奴らだ。
さっさと喋れっ!
本当に怒髪天にくる。
それにしても顎が痛いぞ。
◇
だが、余の惨状でもまだマシらしい。
宮廷治癒術師がそう苦しむ余に言った時は『処刑にしてやる』と激怒したが、マクベスとアークの惨状を聞いて本当に『マシ』な事を知った。
マクベスは両眼が潰れて失明。
アークは股間を潰されて不能。
だったのだから。
2人とも再起不能らしい。
・・・股間を潰されなくて本当に良かった。
余は激痛の中、しみじみと思ったのだった。
◇
寝込んで10日後には外遊で他国に出ていた父上が国王陛下が帰国した。
ベッドに眠る余に遭いに来てくれた陛下の第一声は、
「この愚か者がっ! おまえは廃嫡だっ! 北の塔に居を移させる。そこで寝ていろっ!」
との信じられない言葉だった。
「あうあうあう」
顎が砕かれて喋れない中、必死にどういう事かと質問しようとして、マジックアイテムの【念話】を思い出して、
『どういう事です、陛下?』
「その傷だっ!」
陛下が怒り任せに即答した。
「まさか、【神罰】とはな」
『【神罰】?』
「そうだ、宮廷魔術師が治癒出来ぬ原因を調べたであろうが? その結果、【神罰】と判明した。【神罰】を受ける者がよもやゼーレ王族の中から出ようとはっ! このような不名誉、長いゼーレ王国の歴史の中でもおまえがは初だぞっ! 恥を知れっ!」
『お待ち下さい、これはロザリアにやられた傷で――』
「だからロザリアへの婚約破棄に怒った女神様がおまえに【神罰】を下したのだろうっ! そもそもあの淑女の鏡であるロザリアに殴られた時点で何かが変であろうがっ!」
『それは確かに――』
「ともかく【神罰】である為、おまえの傷はもう治らん」
『はあ?』
「よって廃婿とする。北の塔へと行くがよい。ああ、一応、子が作れぬ処置をしておくからな」
『待って下さい。余はまだ――』
と言ったところで【念話】用のマジックアイテムを没収された。
「ソルベン・ゼーレ。おまえを廃嫡として北の塔へと幽閉する」
陛下がそう言い放ち、オレは本当に幽閉されたのだった。
顎が砕かれてロクに食事も出来ないのにだぞ。
本当にロザリアに負わされた怪我はその後も治らず、食事が満足に食べれないオレは衰弱し、
10年後に病を得て死ぬ事となったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
モルガス・ゼーレ・・・ゼーレ王国の第15代国王。
どうして偉大なるゼーレ王国の第16代国王に内定している王太子である余がこんな目にっ!
余は現在、激痛で苦しんでいた。
激痛の原因は卒業パーティーで反逆者のロザリアに殴られた箇所が痛むからだ。
殴られた怪我など宮廷治癒術師に治させればいいと思ったが、変な呪いが掛かっていた所為で怪我は治らなかった。
つまり、余は現在、
右眼に青タンがあり、
顎は砕かれ、
歯も4本折れ、
側頭部もヒビが入り、
それはもうあり得ない激痛に苦しんでいた。
宮廷治癒術師の話では治癒出来ないらしい。
お陰で、激痛に苛まれながら、余をこんな目に遭わせた反逆者ロザリアを捕らえるべく命令を出した時には(激痛過ぎてロザリア捕縛の命令を出したのは2日後だった。無論、こっちは顎が砕かれて喋れないので筆談でだ。途中でマジックアイテムでの【念話】となったが)逃げられてた。
クソォ~。
余が苦しんでる隙に逃げるとはっ!
あの反逆者だけは絶対に許さんっ!
捕らえて拷問で歯を1本1本、余が自ら抜いてやるぞ。
そんな訳で騎士団に追跡をさせている。
女の足だ。
遠くへは逃げれまい。
逃走に使った貴族車は処分されてたらしいからな。
当然、追跡を派遣するだけではない。
ロザリアの家族や屋敷に居た使用人らも全員捕縛している。
王太子の余を殴ったのだ。
つまりは反逆者の一族だ。
貴族だろうと容赦はしない。
拷問を掛けて居場所を聞き出して最中だ。
全員、ロザリアを庇って拷問に耐えてるらしいが。
馬鹿な奴らだ。
さっさと喋れっ!
本当に怒髪天にくる。
それにしても顎が痛いぞ。
◇
だが、余の惨状でもまだマシらしい。
宮廷治癒術師がそう苦しむ余に言った時は『処刑にしてやる』と激怒したが、マクベスとアークの惨状を聞いて本当に『マシ』な事を知った。
マクベスは両眼が潰れて失明。
アークは股間を潰されて不能。
だったのだから。
2人とも再起不能らしい。
・・・股間を潰されなくて本当に良かった。
余は激痛の中、しみじみと思ったのだった。
◇
寝込んで10日後には外遊で他国に出ていた父上が国王陛下が帰国した。
ベッドに眠る余に遭いに来てくれた陛下の第一声は、
「この愚か者がっ! おまえは廃嫡だっ! 北の塔に居を移させる。そこで寝ていろっ!」
との信じられない言葉だった。
「あうあうあう」
顎が砕かれて喋れない中、必死にどういう事かと質問しようとして、マジックアイテムの【念話】を思い出して、
『どういう事です、陛下?』
「その傷だっ!」
陛下が怒り任せに即答した。
「まさか、【神罰】とはな」
『【神罰】?』
「そうだ、宮廷魔術師が治癒出来ぬ原因を調べたであろうが? その結果、【神罰】と判明した。【神罰】を受ける者がよもやゼーレ王族の中から出ようとはっ! このような不名誉、長いゼーレ王国の歴史の中でもおまえがは初だぞっ! 恥を知れっ!」
『お待ち下さい、これはロザリアにやられた傷で――』
「だからロザリアへの婚約破棄に怒った女神様がおまえに【神罰】を下したのだろうっ! そもそもあの淑女の鏡であるロザリアに殴られた時点で何かが変であろうがっ!」
『それは確かに――』
「ともかく【神罰】である為、おまえの傷はもう治らん」
『はあ?』
「よって廃婿とする。北の塔へと行くがよい。ああ、一応、子が作れぬ処置をしておくからな」
『待って下さい。余はまだ――』
と言ったところで【念話】用のマジックアイテムを没収された。
「ソルベン・ゼーレ。おまえを廃嫡として北の塔へと幽閉する」
陛下がそう言い放ち、オレは本当に幽閉されたのだった。
顎が砕かれてロクに食事も出来ないのにだぞ。
本当にロザリアに負わされた怪我はその後も治らず、食事が満足に食べれないオレは衰弱し、
10年後に病を得て死ぬ事となったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
モルガス・ゼーレ・・・ゼーレ王国の第15代国王。
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