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【夜王side】青眼、死す
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オレはリティア大森林からようやく帰還した。
「ああ、疲れたぁ~」
オレがソファーに座ると同時に、ドアが開き、
「大変よっ! 廃墟グロアスバリが爆発し、モルダイエー山脈が噴火して両方のアジトが吹き飛んだわっ!」
そう青眼が叫んだ。
あれ?
デジャブだと思ったのはオレだけか?
因みに青眼は意思を持つサークレット型のマジックアイテムが本体だ。
そのサークレットが青眼に見える事から青眼なんて洒落たコードネームを名乗ってた。
今、憑依してるのは金髪エルフだったが。
「あっそ、後はそっちでやってくれ。こっちはリティア大森林でエルフのババアを殺してきたところなんだからさ」
「冗談よね、夜王? 防衛はアナタの担当でしょ?」
「略すなよ、オレのコードネームは夜王なんだから、フッ」
「はいはい。原因を調査しに行くわよっ!」
そんな訳でオレはアジトに戻った直後に、またも出発する事になった。
◇
飛竜で丸1日掛けて移動すると本当にモルダイエー山脈は噴火していた。
マグマだらけだ。
そして、翼を持つドラゴン30頭ほどがマグマで真っ赤になったモルダイエー山脈の上空に未練がましく集まっていた。
「そう言えば、モルダイエー山脈にも大地の女神ミーカルの干渉妨害の楔がなかったか?」
「ええ、あったわよ。って、そんな事よりも魔十教団のアジトが潰された事の方が問題でしょっ! リティア大森林に続いて、廃墟グロアスバリとモルダイエー山脈まで。絶対にどこかの勢力が仕掛けて来てるわよ、これ?」
「フッ、廃墟グロアスバリの爆発は生命がアジトを破棄しただけで、こっちのモルダイエー山脈の方はただの自然災害だろ? もしくはドラゴンがマグマ層にまで穴を掘ったか」
「そんな事ある訳がないじゃないの。ほら、見なさいよ、あの場所。魔力の残滓が残ってるわ」
と青眼に指摘されて、オレも気付いた。
攻撃魔法が原因だったのか、この噴火って?
「だとしたら、どこかから攻撃魔法を撃ったはずだが」
その後、2人で周辺を【過去視】しまくったが、術者が魔法を放った地点も判明出来なかった。
というのも、調査開始5分後には、住処を失ったドラゴンどもが八つ当たりで攻撃してきて、
「フッ・・・鬱陶しいわっ! 【赤闇閃光】っ!」
オレもエルフの老婆と戦って負傷した傷が完全に癒えてなくて気が立ってたので、攻撃魔法でドラゴンを数頭退治した訳だが、
それが悪手だったらしく、
「ちょ、何をやってるの。そんな事したらーー」
青眼がオレに文句を言う前に、ドラゴン達が、
アギャアアアアアア。
アギャ、アギャ、アギャァァ。
と喚き出した。
そのドラゴンの声に一番敏感に反応したのはオレ達が乗ってる飛竜だ。
オレと青眼のそれぞれが飛竜に乗っていた訳だが、その飛竜がオレ達を振り落とそうと暴れ始めて、
「ちょ、待て。落ちつけっ! 嘘だろ?」
「キャ、ドラゴンの大群とやりあったら飛竜がどっちに付くかなんて分かり切った事じゃないのっ!」
青眼が喚く中、オレは飛竜の制御を諦め、飛び降りた。
そして上空に浮遊する。
フッ、オレはヴァンパイアだから魔法を使わずとも空も自由に飛べるのさ。
「あんたねぇ、自分だけっ!」
だが、青眼の方は飛竜に必死にしがみついていた。
あれ、飛べなかったっけ、青眼って?
それが死への誘いとなり(おっ、今の言い回し、カッコイイかも。これからも使おう)、飛竜とドラゴンの連携プレイで、
「アギャア」
青眼を乗せた飛竜がドラゴンの口元スレスレに背を向けて滑空し、
ドラゴンが青眼ガブリッとかじり付いた。
おお、空中で器用な真似を。
と思った瞬間、青眼の本体のサークレットをドラゴンが牙で砕いたのか、
どごぉぉぉぉぉぉんっ!
青眼を噛んだドラゴンの口の中が爆発した。
魔力爆発だ。
「フッ、死んだか。天晴な最後だったぞ、青眼」
オレはそう仲間を讃えながらカッコよく帰っていこうとしたのだが、
ドラゴンの方がヴァンパイアのオレよりも飛行速度が速かった所為で、
何度も追いつかれて、
結局はドラゴン20頭と鳴き声で呼び寄せられた更に10頭と戦闘する破目になったのだった。
フッ、当然、勝ったさ。
またもやボロボロだったけどな。
爆発系の魔法で更地になった廃墟グロアスバリは疲れてて調査もしなかった。
ドチクショウ。
痛いぜ。
それにしてもどこのどいつだ。
モルダイエー山脈を噴火させやがったのっ?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
青眼・・・意思を持つサークレットが本体。身体はエルフ。
地名。
廃墟グロアスバリ・・・200年前からゾンビが住む。魔教団のアジトあり。
「ああ、疲れたぁ~」
オレがソファーに座ると同時に、ドアが開き、
「大変よっ! 廃墟グロアスバリが爆発し、モルダイエー山脈が噴火して両方のアジトが吹き飛んだわっ!」
そう青眼が叫んだ。
あれ?
デジャブだと思ったのはオレだけか?
因みに青眼は意思を持つサークレット型のマジックアイテムが本体だ。
そのサークレットが青眼に見える事から青眼なんて洒落たコードネームを名乗ってた。
今、憑依してるのは金髪エルフだったが。
「あっそ、後はそっちでやってくれ。こっちはリティア大森林でエルフのババアを殺してきたところなんだからさ」
「冗談よね、夜王? 防衛はアナタの担当でしょ?」
「略すなよ、オレのコードネームは夜王なんだから、フッ」
「はいはい。原因を調査しに行くわよっ!」
そんな訳でオレはアジトに戻った直後に、またも出発する事になった。
◇
飛竜で丸1日掛けて移動すると本当にモルダイエー山脈は噴火していた。
マグマだらけだ。
そして、翼を持つドラゴン30頭ほどがマグマで真っ赤になったモルダイエー山脈の上空に未練がましく集まっていた。
「そう言えば、モルダイエー山脈にも大地の女神ミーカルの干渉妨害の楔がなかったか?」
「ええ、あったわよ。って、そんな事よりも魔十教団のアジトが潰された事の方が問題でしょっ! リティア大森林に続いて、廃墟グロアスバリとモルダイエー山脈まで。絶対にどこかの勢力が仕掛けて来てるわよ、これ?」
「フッ、廃墟グロアスバリの爆発は生命がアジトを破棄しただけで、こっちのモルダイエー山脈の方はただの自然災害だろ? もしくはドラゴンがマグマ層にまで穴を掘ったか」
「そんな事ある訳がないじゃないの。ほら、見なさいよ、あの場所。魔力の残滓が残ってるわ」
と青眼に指摘されて、オレも気付いた。
攻撃魔法が原因だったのか、この噴火って?
「だとしたら、どこかから攻撃魔法を撃ったはずだが」
その後、2人で周辺を【過去視】しまくったが、術者が魔法を放った地点も判明出来なかった。
というのも、調査開始5分後には、住処を失ったドラゴンどもが八つ当たりで攻撃してきて、
「フッ・・・鬱陶しいわっ! 【赤闇閃光】っ!」
オレもエルフの老婆と戦って負傷した傷が完全に癒えてなくて気が立ってたので、攻撃魔法でドラゴンを数頭退治した訳だが、
それが悪手だったらしく、
「ちょ、何をやってるの。そんな事したらーー」
青眼がオレに文句を言う前に、ドラゴン達が、
アギャアアアアアア。
アギャ、アギャ、アギャァァ。
と喚き出した。
そのドラゴンの声に一番敏感に反応したのはオレ達が乗ってる飛竜だ。
オレと青眼のそれぞれが飛竜に乗っていた訳だが、その飛竜がオレ達を振り落とそうと暴れ始めて、
「ちょ、待て。落ちつけっ! 嘘だろ?」
「キャ、ドラゴンの大群とやりあったら飛竜がどっちに付くかなんて分かり切った事じゃないのっ!」
青眼が喚く中、オレは飛竜の制御を諦め、飛び降りた。
そして上空に浮遊する。
フッ、オレはヴァンパイアだから魔法を使わずとも空も自由に飛べるのさ。
「あんたねぇ、自分だけっ!」
だが、青眼の方は飛竜に必死にしがみついていた。
あれ、飛べなかったっけ、青眼って?
それが死への誘いとなり(おっ、今の言い回し、カッコイイかも。これからも使おう)、飛竜とドラゴンの連携プレイで、
「アギャア」
青眼を乗せた飛竜がドラゴンの口元スレスレに背を向けて滑空し、
ドラゴンが青眼ガブリッとかじり付いた。
おお、空中で器用な真似を。
と思った瞬間、青眼の本体のサークレットをドラゴンが牙で砕いたのか、
どごぉぉぉぉぉぉんっ!
青眼を噛んだドラゴンの口の中が爆発した。
魔力爆発だ。
「フッ、死んだか。天晴な最後だったぞ、青眼」
オレはそう仲間を讃えながらカッコよく帰っていこうとしたのだが、
ドラゴンの方がヴァンパイアのオレよりも飛行速度が速かった所為で、
何度も追いつかれて、
結局はドラゴン20頭と鳴き声で呼び寄せられた更に10頭と戦闘する破目になったのだった。
フッ、当然、勝ったさ。
またもやボロボロだったけどな。
爆発系の魔法で更地になった廃墟グロアスバリは疲れてて調査もしなかった。
ドチクショウ。
痛いぜ。
それにしてもどこのどいつだ。
モルダイエー山脈を噴火させやがったのっ?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
青眼・・・意思を持つサークレットが本体。身体はエルフ。
地名。
廃墟グロアスバリ・・・200年前からゾンビが住む。魔教団のアジトあり。
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