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欠陥軍船説、海で亜熱帯ならビーチ、勇者祭の丸太バットホームラン
しおりを挟むオレは男だ。
まあ、身体は女なのだが。
コピーだろうが、女の身体だろうが、自分のケツは自分で拭く。
それがオレだ。
おお、なんて男らしいんだ。
そんな訳で、カサブラ港で救助されたタンテト連合の提督が『軍船が沈んだのはナガン諸島連合の工作だ』と因縁を付けてると知って、
普段のように、
「ボクチン、何も知らなぁ~い」
とすっとぼけて良かったんだが、
放ってはおかなかった。
コイツラはチャーリーを狙ったからな。
つまりはオレへの攻撃って訳だ。
今更違うとは言わせないぜ。
敵は潰せ。
それがオレの基本方針だ。
敵でも潰さないのはオレに寝返りそうな美女だけだ。
つまり何が言いたいのかと言えば・・・
タンテト連合国の軍港や港、領海を運航中のタンテト連合の軍船が立て続けに沈んだのだった。
軍船が1隻だけ沈んだから因縁を付けられるのであって、
ヨソの場所で82隻沈めたら、それはもう軍船の構造上の問題って訳さ。
オレって冴えてるぅ~♪
はぁーっはっはっはっはっ。
えっ?
本調子じゃないのにわざわざ飛竜で出向いて潰して回ったのかって?
おいおい、頭、大丈夫か?
そんな面倒臭い事、このオレがする訳ないだろうが。
精々、チャーリー回収時に、
「【海流螺旋錐】っ!」
と魔法を使って、海水の螺旋錐を20本カサブラ港の海底に沈めて、暇な時に遠視で獲物を確認して、遠隔で動かして潰すくらいだよ。
魔法が無くなると何回か追加してな。
う~ん、縁もゆかりもないナガン諸島連合の為に82隻も沈めるなんて・・・
オレはなんて人間が出来てるんだぁ~。
それも功績を誇らぬ美学。
奥ゆかしいぜ。
はぁーっはっはっはっはっ。
んっ?
どうして82隻なんて半端な数字なのかって?
それはな。
タンテト連合国が軍船を82隻しか所有してなかったからだよ。
つまり、もう連中は軍船を1隻も保有してないのさ。
はぁーっはっはっはっはっ。
◇
さて。
海で亜熱帯気候なら当然、海水浴だ。
そんな訳で議長のナルバ家がクロス島に持つプライベートビーチにお邪魔していた。
さすがは権力者。
一番いいビーチを独り占めとは恐れ入るぜ。
オレはビーチパラソルの影でビーチチェアの上に寝転んでいた。
恰好は赤色の花柄ビキニの水着と同絵柄のロングスカートのように巻いた布だ。
アシュは赤色のビキニ。
リラは黒のビキニ。
シューはワンピース水着でヒラヒラミニスカ付き。
まあ、かなり露出度が高いが、オレ達はまともな水着だ。
だが、まともじゃない水着を着てるのもいた。
それがオレ付きの女官巨乳ちゃんで、何故か、大葉のビキニに葉っぱの腰蓑っぽいミニスカートを纏っていた。
インテリ眼鏡の有能タイプに思えたが、残念な女だったんだな。
その割にはその姿で堂々と給仕をしている。
「それ、簡単に破れるわよね?」
さすがにオレも興味があり、強度問題を尋ねると、
「破れても大丈夫ですよ、女性だけなんですから」
そう笑って、
「よろしければロザリア様が私を脱がせてみますか?」
誘惑してきた。
「いえ、いいわ。あの子達がピリ付くから」
オレは遠くの海でマジックアイテムの自動サーフボードでレースをしてる3人を見ながら答えた。
「愛されてますよね、ロザリア様は」
「まあね」
と喋ってた訳だが、
おっと、そうだ。
前回の問題の答えに水着時も追加しておいてくれ。
と言うのも、
プライベートビーチの海面からザバァンッと男達が現れて、
「偽勇者を殺せっ!」
「おおっ!」
とか言って突っ込んでくるが、戦闘力が2ケタだから、海面からオレが居るビーチチェアまで近付くのが遅い遅い。
「【氷の矢】っ!」
と魔法を放ち、8人全員を潰したのだった。
「雑魚が本当に気分を害してくれるわ。これもそうなの?」
「はい、大陸追従派です」
と巨乳ちゃんは答えたのだった。
雑魚の襲撃が更に数回あって、
そんな訳でタンテト連合の軍船は82隻も沈んだんだぜ。
まあ、ともかく、
オレは勇者祭までの時間をビーチでのんびりと過ごしたのだった。
◇
あっという間に5日後の勇者祭だ。
民衆に紹介されたが、
「あれが勇者様かぁ~」
「立派なお方だ」
「キャア、ロザリア様ぁ~」
それで『おしまい』となる訳もなく、
「おいおい、女が勇者かよ?」
「あんな女よりもオレの方が強いぜ」
「オレと勝負しろ」
とヤジられた。
大陸追従派の連中だろう。
ったく、国内が二分してるとこうなる訳だ。
そして、オレを利用する気満々の議長が、
「ロザリア殿を勇者と疑うならば名乗り出て勝負してみるといい。よろしいな、勇者殿も?」
と利用してくれて、こんな状況下でも、
「嫌です」
と言える性格のオレだったが、暴れたい気分だったので、内心でブチギレながら、
「ええ、いいですよ」
と答えたのだった。
最初からそのつもりだったのか、勇者祭は武術祭に早変わりした。
クロス島の武術祭は海に浮かべた何本もの丸太の上で戦うらしい。
拙いな。
武術祭の試合場を見た瞬間、オレは内心で焦ってしまった。
超得意過ぎて。
よりにもよって『これ』かよ。
こっちの世界にもあったんだな、この決闘法。
どうしよう?
オレに有利過ぎて、逆に気が引けてるんだが。
オレ、これで負けた事がないからな。
だって、とある島の女人しか住んでない露出系の蛮族の決闘が『これ』でな。
勝ったら蛮族あるあるで強い子孫を残す為とかで女戦士とヤレるって言うんで・・・
その後、どうなったか分かるだろ?
分からない?
コンプリートしてハーレムを作ったんだよ。
男なら当然だろうが。
「武器は?」
「刃の付いていないものなら何でも。好きなモノをお使い下さい」
女官の巨乳ちゃんが説明して、用意されてる木刀や木槍を見せたが、
「なら、私はこれを使うわ」
オレはジャンプして試合場の海に浮かぶ丸太の1本の片側の端に勢い良く着地した。
海からザバンッと丸太を立てて、素早く移動して、立った丸太のてっぺんに移動してから海から引っこ抜いて、別の丸太に着地した。
海から引っこ抜いた丸太はどうしたのかって?
当然、肩に担いでるよ。
「それじゃあ、誰から? 全員でもいいわよ。どうせ私が勝つんだから」
「調子に乗るなよっ!」
と出てきたのは戦闘力630の虎人だった。
当然、男だ。
なので、試合開始の合図の、
「始めっ!」
との言葉で、カッキーンッと丸太をバット代わりに振ってホームランを打ってやった。
「ひぶしゃるああああ」
海に落ちるどころか、カサブラ港の入り江の外側にある城壁にドゴッと上半身が突き刺さる。
尻をこちらに向けてピクリとも動かなかった。
ふむ。
これって男でやるもんじゃないな。
女でやるからエロイんであって。
「ほら、次、サクサクいきましょう」
「上等だ、次はオレだっ!」
戦闘力410の狼人の男が出てきたが、
「始め」
カッキーン。
「ひぎゃれんべえええ」
ドゴッ。
となった。
その後も、
「始め」
カッキーン。
「始め」
カッキーン。
「始め」
カッキーン。
「始め」
カッキーン。
「始め」
カッキーン。
・・・
馬鹿しかいないのか?
それとも挑まなかったら後で仲間に何か言われるのか?
150人くらいを城壁に打ち込んでやったところで、
「まだやる?」
オレの質問にようやく全員が首を横に振ったのだった。
「では、ここに改めてナガン諸島連合はロザリア殿を勇者と認める」
一番オイシイところを議長が持っていって勇者祭は終わったのだった。
◇
さて、夜だ。
よほどオレは目障りな存在らしい。
また襲撃があった。
ってか、今度はいきなり官邸全部をボアアッだ。
つまり、
焦げ臭いなぁ~。
と思った時には一気に火の手が回って官邸が大火事になっていた。
「ちょ、何なの、ロザリア様?」
今夜の相手のシューが裸で驚く中、
「【凍る世界】っ!」
オレは魔法を使って、ピキーンッと炎ごと官邸を凍らせてから、指輪のアイテムボックスにしまったシルバードラゴンの装備一式を纏った。
「ほら、シューも。装備を纏って。お暇するわよ」
「ええ」
そんな訳で装備を着て部屋を出ると、廊下に出ると、アシュ、リラ、チャーリーが待ってたので、
「出発するわよ」
「夜に出発するの、 ご主人様?」
「いい加減うんざりだからね。命令を出してる馬鹿を殴らないと気が済まないから」
と吠えるオレに、チャーリーが、
「それが相手の狙いだったどうするなのだ?」
「どういう意味かしら?」
「大陸追従派を潰す為の独立路線派の差し金だったら、という意味なのだ」
おいおい。
さすがにそれは。
いや、可能性としてはあるかもしれないが。
「そんな事言ってたら、いつまでも解決しないじゃないの」
「吾輩に良案があるなのだ」
「どんな?」
「この国を乗っ取るなのだ」
普通なら、
ふざけるな、そんな面倒臭い事出来るか。
と吠えるところだが、
「いいわねぇ~、それ♪」
とオレが言った為に大陸追従派の本拠地に乗り込むのは中止となったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
戦闘力630・・・ヒルン。虎人。モフス島の代表。議長決闘でシャアツに負けて軍門に降る。海軍トップ。独立路線派だが議長への野心あり。
戦闘力410・・・ガオス。狼人。オオチ島の代表。大陸追従派の首魁。
応援ありがとうございます!
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