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そして、一週間後。
「・・・・君に、謝らなければならないことがあるようだ。あと、感謝も」
一週間ぶりに殿下に呼ばれたと思いきや、突然そんなことを言われる。
「あの時は、」
「殿下」
私は殿下の言葉を遮る。
「すぎたことはよしてください。過去をいちいち振り返る趣味はないので」
ツンと言うと、これ以上だめだと思ったらしく、次に移ってくれたようだ。
だいたい、私だって同じくらい・・・むしろそれ以上言ってしまったのだし、お互い様なのだから。
「この間、ケンタイヤ家から手紙が来たんだ」
へえ。
「今までしつこくて悪かったと、な」
ほほーう。
成長したな、当主。
「それから、こんなうわさも流れている」
噂?
「第二王子は賢くて・・・うんたらかんたら。その婚約者も性格がよすぎてうんたら・・・侍女は主思いだとか、な」
当主すご。
「だから、感謝している」
私は、しまった!と思う。
これじゃあまるで、殿下のためにやったようではないか。
「か、感謝されるためにやったわけではなくて!」
慌てて椅子から立ち上がりながら言う。
褒められたのが、なんだかむずがゆい気もした。
「私の評判のためにやっただけですわ!別に殿下のためにやろうとか、そんなことを思った覚えはありませんので!!誤解するなんてひどいです!!」
ほぼ叫ぶように私は自室へ走って行った。
いや、逃げたと言った方が正確だろうか。
私は、逃げかえった殿下の婚約者の出て行った先を茫然と見ていた。
すると、クスッと笑い声が聞こえる。
「彼女は・・・違うのかもしれない」
・・・。
「表だけ見ていたから分からなかったが、本当は、我がままではないかもしれない、ってことだ」
はあ・・・。
「それに・・・今のはちょっと可愛かった」
口に手を当てて言う殿下に、同意しなくもなくもなくもないが、何とも言えない気持ちで開けっ放しのドアを見ていた。
「・・・・君に、謝らなければならないことがあるようだ。あと、感謝も」
一週間ぶりに殿下に呼ばれたと思いきや、突然そんなことを言われる。
「あの時は、」
「殿下」
私は殿下の言葉を遮る。
「すぎたことはよしてください。過去をいちいち振り返る趣味はないので」
ツンと言うと、これ以上だめだと思ったらしく、次に移ってくれたようだ。
だいたい、私だって同じくらい・・・むしろそれ以上言ってしまったのだし、お互い様なのだから。
「この間、ケンタイヤ家から手紙が来たんだ」
へえ。
「今までしつこくて悪かったと、な」
ほほーう。
成長したな、当主。
「それから、こんなうわさも流れている」
噂?
「第二王子は賢くて・・・うんたらかんたら。その婚約者も性格がよすぎてうんたら・・・侍女は主思いだとか、な」
当主すご。
「だから、感謝している」
私は、しまった!と思う。
これじゃあまるで、殿下のためにやったようではないか。
「か、感謝されるためにやったわけではなくて!」
慌てて椅子から立ち上がりながら言う。
褒められたのが、なんだかむずがゆい気もした。
「私の評判のためにやっただけですわ!別に殿下のためにやろうとか、そんなことを思った覚えはありませんので!!誤解するなんてひどいです!!」
ほぼ叫ぶように私は自室へ走って行った。
いや、逃げたと言った方が正確だろうか。
私は、逃げかえった殿下の婚約者の出て行った先を茫然と見ていた。
すると、クスッと笑い声が聞こえる。
「彼女は・・・違うのかもしれない」
・・・。
「表だけ見ていたから分からなかったが、本当は、我がままではないかもしれない、ってことだ」
はあ・・・。
「それに・・・今のはちょっと可愛かった」
口に手を当てて言う殿下に、同意しなくもなくもなくもないが、何とも言えない気持ちで開けっ放しのドアを見ていた。
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