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国へ帰るお金が貯まった②

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俺はグレイ皇子から一年分の料金だと言われ封筒に入った札束を渡された。

「……あんたを捕まえ、身仕度の世話をしただけでこんなに貰うわけないだろ……夜の相手をしているのも入っているのか?!」
(俺はいつの間にかグレイ皇子の相手をするように成った…女がいる気配も無く毎日のように俺を求めるようになり、俺も…)
「……お前がそう思うならその分も入っているだろう」

ムカッときた俺は、ベッドから離れ床に脱ぎ捨てた服をグレイ皇子と会話も無く無言で服を着ると封筒を握り締め部屋を出た。
イライラとした気分のまま俺は部屋へ戻り、札束が入った封筒を思いっきり床に叩きつけた!

「クソッ、クソッ、クソッ!」

ズキン!

「いてっ!!」

バタッと俺は床に俯せで倒れ腰の痛みに動けなかった。

「……うう~~っ、なんで俺があのクソ皇子の為に……」

俺は腰に手をやり擦っていた時、床に叩きつけた封筒が目の前にあるのを見て、『俺の役目も終わりなのか』と思った……
最近のグレイ皇子は大人しく、舞踏会や披露宴や社交場など街の偵察にも進んで行っている。そのお陰かルシード帝国内での密売が減って来ていると護衛騎士のジークさんが喜んで話しているのを聞いた…それに貴族の令嬢達からの求婚の話しも出ている……
あの…冷血だとか言われていた噂も聞かなくなった。
兄皇子二人とは相変わらず仲が悪いけど、グレイ皇子を慕う者達が増えてきたのは本当だ。

カサッ…俺は封筒を手に取り俺が国へ帰る日も近いと思った。

「……グレイはこの国の皇子なんだ!平民の俺は…女でも無い俺はグレイ皇子から離れるべきなんだ……」

ポタポタ…俺は目頭が熱くて頬を流れる涙が流れていた

「……はは…悲しく無いのになんで泣くんだ……俺……」

俺はこの一年で最初で最後の恋を知った……





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