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「何だよ、何が有ったんだよ」
アドルフさん達3人が馬車からタオルケット類を持ち馬車の中では何も知らないリン姉がぐっすりと馬車の中の椅子で体を横になりスヤスヤと眠っていた。
その姿を見ていたアドルフさん達は苦痛の顔を見せ馬車から離れ急いで体を横になりお腹を真っ赤に染まった手で押さえて苦痛の顔を見せるユリウスの元へ駆け寄った
「御持ちしました早くこれを……」
アドルフさん達は体を仰向けで寝ているユリウスを周りを囲みタオルケット類でお腹を押さえお互い真っ青な顔を見せユリウスの顔を心配そうに見ていた。
「隊長、隊長…しっかりして下さい隊長……」
「…血が止まらない……何で?あんな小さな短剣何だよ…」
「……っ…」
騎士仲間2人はユリウスのお腹をタオルケットで押さえて居るがタオルに血が滲み出していた。
ユリウスはゆっくりと目を開け騎士達の姿を見ていた
「……済まない……傷口は…塞いだよ……大丈夫だ……君達に無様な姿を…見せてしまったね……済まないが娘を起こして…連れて来て暮れないか?」
ユリウスは騎士達にお願いをしてアドルフさん達は馬車の方へリン姉を連れてくる事に3人は向かった
「……王様…」
ユリウスは自分の側にユリーナ母さんの泣く姿を支えている王様に問いかけていた。
「ブランシェ侯爵もう少しの辛抱だ今城から医師を呼んだ頑張るのだ!」
「……王様……彼女は…」
ユリウスは自分を刺したルィーズを心配していた。
「…ホルン伯爵夫人は騎士が側にいる……心配するな…人の事より自分の心配をしたらどうだ」
ユリウスはクスッと笑い王様の側で泣いているユリーナ母さんに目をやっていた。
「……ユリーナ……」
ユリウスはお腹を押さえていた血のついた手をゆっくりと上げユリーナ母さんを呼んでいた。
「……旦那様……」
王様に支えて貰い仰向けで寝ているユリウスの側へ座らせた
ユリーナ母さんは血のついた手をギュッと両手で握り締めユリウスの手に口付けをしていた。
「旦那様…何故…何故…こんな事に……許しません…私は彼女の事を絶対に許しません……」
「……ユリーナ…」
「……ユリーナ殿が言われる事は最もだ……ホルン伯爵夫人にも罰を受ける資格があるブランシェ侯爵が許しても大臣達が許さないだろう…」
王様はお腹の上に置いている血が染み付いたユリウスの手をそっと触り目を見開きそして瞼を閉じて苦痛の表情を見せていた。
「父様!?」
アドルフさん達が馬車で眠っていたリン姉を起こし抱っこして仰向けで寝ているユリウスの元へ…そしてリン姉を降ろした後リン姉はユリウスの横で座っていた。
「父様?どうしたの?こんな所で寝て…カイちゃんもどうしたの寒いの?体が震えているよ?」
「……カイト…そんな顔をしないでくれ……私は…大丈夫だよ……」
ユリウスはニコッと笑みを見せるとリン姉に顔を向けた…タオルに手を隠し触りたいけど触れない娘を見ているだけだった
「…リンごめんね…今父様カイトみたいに寒いんだ…父様の顔にキスをしてくれたら元気になるよ……父様にキスをしてくれるかい!?」
「うん!」
チュッとユリウスの額にキスを落とした
「父様?父様のおでこ冷たいよ?風邪引いたの?」
「…大丈夫だよリン…父様にキスをしてくれたから……リン父様はお仕事で暫く会えなく成るけど…また今日の様に父様と会えるかもしれないよ……それまで待っていてくれるかい…?」
「うん、リンね父様と前にも約束したよ父様を待っていたから今日父様に会えたよ、だから今度も待って居るね!」
ニコッと笑顔をユリウスに見せるリン姉を見ていたユリウスは体の体温が少しずつ失われて行く事に気付きリン姉とユリーナ母さんを自分の側に居るように話しをした。
「……ユリーナ…子供達に会える日を楽しみにしていたけど……無理かもしれない……」
「何を気の弱い事を言って居るのですか?旦那様!今度御会いする時に朝食を私と子供達と一緒に食べる約束をしたばかりですわお忘れに成ったのですか?」
ユリーナ母さんは泣きたいのを我慢してユリウスに頑張るように伝える事が精一杯だった。
「……そうだったね……いつもの子供達の笑い声と…いつもの会話に…いつものブランシェ家の朝食が私は……大好きだったよ…」
ユリウスの目から涙が流れ落ちユリーナ母さんはユリウスの流れ落ちる涙の頬に口付けをしてその姿をリン姉はクスクスと笑いだし毎日のように見ていたユリウスとユリーナ母さんの姿にリン姉はユリウスに「早く良くなってね」とユリウスの頬にキスをしていた。
その様子を反対側で見ていた俺はポロポロと涙を流し自分の無力にただ悔し涙を流す事しか出来なかった…










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