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ユリウスは反対側で座っている俺の方へ顔だけ向くとニコッと笑いタオルケットで隠していた手を俺が膝の上で握り締めている手の上に大きな手で包み込んでいた…
「……ユリーナ…カイトと2人で話をしたいんだ…良いかい…」
「旦那様……御話しは傷口を治した後でこれ以上は……」
「ユリーナ殿ブランシェ侯爵の好きな様にしてあげよう…」
王様がユリーナ母さんにユリウスの好きなようにしてあげようと話し終えると王様は首を小さく振りユリーナ母さんは気付いてしまった。
一番知りたく無い事に…血の気が引くように涙が流れ落ち側にいたリン姉の体をギュッと抱き締めてユリウスを見ていた
「…旦那様少しの間だけですよ……カイちゃんと御話しが終わりましたら屋敷に帰りましょう…子供達が待っております」
「嬉しいな…屋敷へ帰っても良いのかい?」
「勿論です……旦那様の帰る場所はブランシェ家なのです…子供達も医師様もメイド長もメイド達もユリウス様の…旦那様のお帰りを待って居るのですから……」
ユリーナ母さんはユリウスの体を抱き締め耳元で囁いていた
「愛しております旦那様」
「私も…愛しているよユリーナ……有難う…」
ユリーナ母さんは最後にユリウスに口付けを交わしリン姉と一緒にユリウスのもとを離れ王様はアドルフさん達にユリーナ母さんの側に居るように伝えアドルフさん達はユリウスの方を向くと3人同時に頭を深々と下げ今まで騎士として指導を行ってくれたユリウスに敬意を表しアドルフさん達はユリーナ母さんの元へ駆け寄って行った。
王様はユリウスの側へ腰を下ろした。
「王様…申し訳御座いません……シルビア様に何と言えば…」
「…許さん、シルビアを置いてブランシェ侯爵は謝罪も無しで逝くことは許さん…その傷を治しシルビアに謝罪に来なければ私がシルビアに叱られるのだ……だからブランシェ侯爵早く良くなる事だ城の者達もそなたが戻る事を待っておる」
ユリウスは困った顔で王様を見た後俺の方へ向くときその後ろからルィーズ夫人が泣き崩れて泣いている姿が見えユリウスは王様にお願いをしていた。
「……王様…彼女を……ルィーズ伯爵夫人の罰を無くす事は…出来ませんか…?私が悪いのです……彼女を追い詰めてしまう事にしてしまったのは……」
「……罰を無くす事は難しいが…こんな事になってしまったと言うのに……そなたは大馬鹿者だな…ホルン伯爵夫人の事は考えておこう……」
「……有難う御座います王様……」
「ああ…」
王様は下を向いたまま黙って座っている俺の頭を触りながら俺達の側を離れユリーナ母さん達の元へ歩いて行った。
ユリウスは王様とユリーナ母さん達が集まる姿を見てそして悲しむ姿を目にした時兄の快斗の葬儀を思い出していた。
『……兄ちゃんの葬式も…こんな晴れた良い天気だったよ……』
「父様?……」
ユリウスは仰向けで寝る姿で目の前に見える青い空に本田勇樹だった頃を思い出し兄の本田快斗の葬儀で外に出て見上げた空が澄んだ色をした青い空を涙を流して見ていた事を思い出していた。







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