転生してまで俺の後を追いかけるのは止めろ～父様と僕は兄弟でした～

１０１

『顔色も良くなっている、頑張れユリウス！』
俺はユリウスから譲り受けた治癒能力を使いユリウスの体に治療を続けていた。
俺は治療を続けながらユリウスの顔を時々見ていたが瞼を閉じたまま微笑んでいる姿が気になっていた…ただ目を閉じて居るだけだと思っていた。
俺はユリウスの治療を止めユリウスに目を開けるように言った。
「ユリウス気分はどうだ？」
俺の問いかけに応え無いユリウスの頬に手をやり俺は凍り付いた
「……おい、起きろよユリウス…冗談は止めろ！目を開けろ何をそんな気持ちの良い顔して寝てんだよ、目を開けろユリウス！」
俺はユリウスの頬をパチパチと叩いた…冷たく成った頬を何度も叩いた。
「痛いよ、カイト」と言って笑いながら目を開けるのを待った
俺がユリウスの顔を叩いて居る事に気がついた王様が俺の側に駆け寄り起きないユリウスの頬を叩く俺の手を止めた。
「止めるんだカイト、そんなに叩くとブランシェ侯爵の顔が腫れるぞ」
「こいつが悪いんだ目を開けない…こいつが悪いんだ……」
俺は涙を流し冷たく成ったユリウスの胸に泣き崩れた。
「……カイト…」
「またカイトに約束を破った……一緒に湧き水の場所でこの２つのコップで一緒に水を飲もうと…さっき約束したのにまた……嘘ついたんだ…許さない、許さない……目を開けてカイトに謝るまで……絶対にユリウスの事を許さない……」
俺はユリウスの胸を何度も叩き治癒能力を使いユリウスが目を開けるまで能力を出し続けた
俺の泣く姿を見ていたユリーナ母さんが真っ青な顔で涙を流してリン姉を抱き締めていた。
「母様、どうしたの？何処か痛いの？」
リン姉がユリーナ母さんの頭を撫でながら心配をしていた。
アドルフさん達はユリウスの側に黒髪の姿に成っている俺を見て驚いた様子だったが俺がユリウスの体に顔を埋める姿を見てユリウスが動かない事が分かった
「……嘘…だろう？隊長が……隊長が」
「そうだよ隊長が死ぬ訳無いよ…なぁ、そうだろうアドルフ…！？」
「……」
アドルフさんは泣き崩れている俺の姿をただ黙って見ている事しか出来なかった
「……カイト、そなた治癒能力が使えたのか？」
王様が俺の背中を擦りながら治癒能力の事を聞いていた。
「……ユリウスから譲り受け取ったんだ…俺に…能力を渡したからユリウスの体が…弱まったんだ……治癒能力を貰っても助からないのなら…貰った意味が無い！…馬鹿だよ……大馬鹿野郎だ！！」
止まる事の無い涙が流れ続け俺は外からの治療を止めユリウスの中に治療を始めた…何度も何度も冷たく成ったユリウスの唇を重ねユリウスの中に注ぎ込んだ
「…ユリウス…お前の能力を返すよだから目を開けてくれ……俺が叩いた頬が真っ赤だぞ…早く自分で治療をするんだ」
俺はユリウスの顔を両手で支えユリウスが目を覚ますのを待った
『誰が先に逝けと言ったんだよ…お前が居なくなったら誰と日本語で話しをすればいいんだよ……まだカイトは小さいんだぞ成長するまで待っていると言ったじゃないか…カイトの初めてを貰うと約束したじゃないか……俺をこの国に呼んだのはお前何だぞ、最後まで責任取れよ勇樹……』
「うああああーーーーっ！！」
俺は顔を上げ声を出して泣いた…顔が涙と鼻水でグシャグシャの顔に成っていると思い見上げて居る空を涙で歪んで見えるけど青く澄んだ青い空が目に焼き付いた
『兄ちゃんの葬式もこんな良く晴れた日だったよ』
俺はユリウスが勇樹が俺に言った事を思い出し、お前も俺が本田快斗が亡くなった時はお前もこんな気持ちだったのか？と、青く広い空を涙を流し俺は青い空を見ているだけだった。

《この子の名前はカイトと名付けるよ私の大好きな人の名前だよ……お帰り兄ちゃん》


ユリウス・ブランシェ侯爵余命２８歳
転生者名本田勇樹、カイト・ブランシェの転生者の兄本田快斗の弟であった。