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「……これは…!」
俺は渡された服を見て何故この黒の背広をユリウスが持っているのか驚いた顔でユリーナ母さんの顔を見た。
「私が旦那様から預かっていた衣服です。旦那様がお城での生活をなさいました時に送り忘れて居りまして日を改めまして後程お城に送る事にしておりました。」
「……この服をユリウスに良いのですか?」
ユリーナ母さんはコクン…と頷きベッドの上で眠るユリウスを見て語り掛けていた。
「私がユリウス様と結婚をしました数年後に特別に御着用に御注文をなさいました衣服です。
珍しい衣服の為旦那様に伺った事がありました。
以前御世話に成った方が着ています姿を見て御自分も持ちたいと思い衣類の専門店に特別に御注文をなさいましたと伺って居りました…もしかしてこの衣服は……」
ユリーナ母さんは話しの途中俺の顔を見て俺はその応えを知って居るため頷いた。
「……はい、私達が住んでいました国の衣装です」
俺は黒の背広を見て転生してもこの国では独りの様な気持ちがあったのだろうか「カイト」が生まれて来るまでの間その繋がりを形に残したかったのだろう…だからこの屋敷の中で前世の事を思い出し色んな形としてこの屋敷に残っている。
俺は懐かしい背広を見て笑みを浮かべていた。
「……旦那様はこの衣服を見まして自分が先に亡くなった時にこの衣服を着せて欲しいと私に言って居りました。
その時の私は「縁起でも無い事を言わないで」と旦那様に叱り付けました事を思い出しました。」
俺はユリーナ母さんの話しを聞いた後ユリウスの側で黒の背広を見せてあげた。
「今から綺麗に体を拭いこの背広を着せてあげるから待って居てくれ…」
俺はユリウスに伝えるとメイド達に使用人の男性を集め服の着替えを手伝う事をお願いした。
バタバタと廊下を走る足音が聞こえ廊下には医師とメイド長そして数名のメイドが廊下にいた。
走って来たのはショーン兄達で、涙を流し廊下を走りユリウスの部屋までやって来た。
「医師様、医師様、父様は…父様は……」
最初に駆け寄って来たのはショーン兄だった…真っ青な顔で医師に話し掛けユリウスの事を聞き出していた。
「…ショーン様……」
医師はショーン兄の顔を見て首を横に振る事でユリウスが生きては居ない事をショーン兄は知った。
ショーン兄はその場で跪き驚いた医師とメイド長がショーン兄の体に寄り添っていた。
「ショーン様お気を確かにお持ち下さい」
医師がショーン兄の背中に手を当て落ち着かせる事に必死だった。
その後にエミリー姉とジェーン兄と涙を流し歩くアニー姉そしてルカリオ兄達きょうだい達がユリウスの部屋の前に集まった。
既に先にユリウスの部屋の前に来ていたショーン兄の跪く姿を見た兄姉達はユリウスの死を信じる事が出来なかった。
俺は廊下が騒がしいと思い兄姉達がユリウスの死を知り来たのだと思った。









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