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俺はユリウスからもしかすると妊娠の可能性が在るかもと聞かされ俺はこれから先どうなると思う不安で頭の中が真っ白な状態だった。
「……快斗まだはっきりとは…」
「だが、その可能性が在るかも知れないんだろう!?」
「……うっ…」
「はぁ……」
俺はただ、ため息を吐くしかなかった。
俺の落ち込む姿を見ていたユリウスが自分の部屋に在る置き時計を見て夜明けが近付いて来る事が分かり話し掛けてきた。
「兄の…快斗の許可も無く勝手な事をして済まないと思っている快斗の中で奥へ奥へと抑えが効かない事もあり、妊娠はしないだろうと思い私の子種を快斗の中に注ぎ込みたかったんだ。
私の…ユリウスと勇樹を忘れられない位に私の俺の事をずっと思い出す様に愛していた事を忘れない様に…例え他の奴と寝たとしても私の事を思い出して欲しいと思ったんだ。」
ユリウスは下を向いていた俺の顔を上げ唇を重ねていた。
唇を重ねたユリウスの目から涙が流れ落ち俺は部屋の窓を見ると少し外が明るく成りかけている事が分かり俺の目の前が真っ暗に染まった。
勇樹とユリウスと一緒にいる時間が少なく成っていた。
「…快斗私の願いを聞いて欲しい……この事は快斗でなくては駄目何だ…情けない父親の頼みでもあるんだ」
「頼み事って?」
「……私は数名の女性に声を掛け関係を持った女も居たんだ彼女達に私の死を知らせて欲しいんだ…城でメイドとして働いている彼女達にはもう私の死は知らされている事だろう…そして城下町で知り合った女性に私の死を知らせて欲しいんだ。
会う約束をしていたのだが出来なくなってしまった…場所は王様の護衛騎士二人が知っている…私の机の引き出しにペンと紙が入っている筈だよその紙に彼女達の名前を書いて欲しい…私の頼み事を聞いてくれるかい……?」
「…父親の後始末は子供がする事だろう?!」
俺は机の側に行き引き出しの中からペンと紙を取り出しユリウスが言っていた彼女達の名前と場所を書いた。
「有難う快斗…そして済まなかった。私の女愚せのせいで嫌な事を引き受けさせる様な事をしてしまった」
俺は今ユリウスが気に掛けている彼女の名前を出した。
「……ルィーズ夫人には何か言い残す事は在るのか?」
ユリウスは俺がルィーズ夫人の名前を出した事で驚いた顔をした後悲しげな顔を見せていた。
「…有難う快斗、彼女の名前が出るとは思わなかったよ……前世の優花の面影がある彼女に優花だと思い「ルィーズ」と名乗る一人の女性として私は見ていなかったのかもしれない…彼女には自分で命を絶つような事はしないで欲しいと伝える事が出来れば彼女に話して欲しい」
「……分かった」
俺がユリウスの頼み事を引き受けた後俺の頼み事を聞いて貰った
「俺と一緒に朝日が昇るのを日本語で兄と弟で話しがしたいんだ」
「クスッ、そんな事で良いのかい!?」
ユリウスは兄姉達一人ずつに頭にキスをしてユリーナ母さんにも唇を重ね笑顔で皆の寝姿を見た後俺の隣に座った。
俺は窓のカーテンを開き外は少しずつ明るく成る事が分かり俺はベッドの上で眠るユリウスの側でベッドの上に座り窓から見える外をながめていた。
『……本田家の家族は皆健在かな…俺が突然死に成った時母さんと父さんは70歳には成っていたよな』
『えっ、父さんと母さんもうそんな年だったかな?』
『勇樹、お前自分の両親の年ぐらい覚えてろよ』
『ええっ、俺自分の年も忘れる事が在るのに父さん達の年何て覚えてないよ、優花と子供達が覚えて父さん達の誕生日には何かプレゼントしていた事は知っていた。
さすが俺の嫁さんだね!』
『……その嫁さんを離婚寸前まで成っていたのは誰だ?』
『兄ちゃん、その話しはもう止めてよ俺が天国に逝った時に優花に顔向け出来ないよ』
『勇樹お前天国行きなのか?その反対では…』
『ヒドっ、俺が天国逝かないと兄ちゃんや父さん、母さん、優花に子供達そしてユリウスの家族ユリーナや子供達が俺が天国に居ないと大騒ぎに成るんだぞ』
『……天国逝き自信満々だな…』
俺とユリウスは笑いながら前世の事を思い出し語っていた。
そして少しずつユリウスの幽体が消え始めていた。
『……俺兄ちゃんには悪いと思っているけど、子供が本当に出来ていれば良いと思って居るんだ…俺のユリウスの子供が産まれて来る事を願って居る』
『……もし子供が授かるのならお前に似ない事を祈る、女愚せはお前で懲り懲りだからな』
『うっ、何も言い返せ無いけど俺と性格が似た子供は嫌だな、兄ちゃんが捕られる』
『はぁ?』
『ハハハハ兄ちゃん変な顔に成ってるよ』
『馬鹿、勇樹!』
『ハハハ……兄ちゃん、兄ちゃん…大好きたよ兄ちゃん!』
『ああっ、俺も大好きだよ…勇樹…』
ユリウスの幽体が体が消え顔だけに成った時俺達は唇を重ね最後のキスを交わした。
「愛して……いるよ……カイト(快斗)……」
「僕も……愛している……父様……」
俺は最後に3歳のカイトの姿に成りユリウスは微笑みそしてユリウスは俺の前から消えてしまった。
俺はベッドの上で眠るユリウスの頬を触り冷たく硬く成ってしまった胸の上で声をころし俺は泣いていた。













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