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総隊長さんの案内で城内の中に入った俺達は皆黒服を着ている姿が目に入り何処の国でも亡くなった者の葬式は黒服なんだと思い俺達は城内の廊下を歩いていた。
城の中では悲しむメイド達に目が入りその中では見た事もあるメイド達が何人も居てお互い抱き締め合い泣いているメイドを見掛けた。
「屋敷にいたメイド達が泣いているね…」
俺の隣を歩いているルカリオ兄がボソッと呟き見掛けた事があるメイド達は屋敷に雇われていたメイド達だった。
「旦那様……旦那様…」
「どうして旦那様が……女性に優しい旦那様でもこんな事はあんまりです……」
王様はユリウスの死を城内の人達には通り魔から女性を助けた事での不幸と伝えていた様だった。
実際に起きた事を知っている俺とユリーナ母さんは死ぬまで真実を隠し墓場まで持って行く事に成っている。
ユリーナ母さんには納得いかない事だがこれから先、生きて行く俺達子供には皆の中で最後は良い父親として残して貰いたいと思っている……王様には感謝している。
パタパタと一人のメイドが走りユリーナ母さんの側に涙目になり近寄っていた。
「奥様、奥様……わたくしは先日まで御屋敷で雇われていましたメイドの一人で御座います」
涙声でユリーナ母さんの側で屋敷で働いていたメイドが話し掛けている姿を総隊長が声を出していた。
「……君は昨日ユリウスの部屋から出てきた…悪いがユリーナ様との話しは後にしてくれ」
総隊長さんが途中で話し掛ける事を止め先に進もうとしていた時ユリーナ母さんが何かに感じたのか俺達に先に行くように総隊長さんに伝えていた。
「総隊長様先に行って下さいませんか?私この人とお話しが在りますので…御父様達も先に行って下さいませんか!?」
「ああっ、屋敷のメイドと話しがあるのなら私達は先に王様に会って来るとしょう」
「分かりましたユリーナ様後に部下に向かわせますので先に行っております。」
ユリーナ母さんの父親が先に行くと伝え総隊長さんも後から騎士を向かえに寄越すと言った後ユリーナ母さんを残し俺達は先に王様の待っ部屋に向かうことになった。
俺は何故ユリーナ母さんがメイドと話しがあるのか分からずにいた。
ユリーナ母さんとメイドは端に寄りそして会話が始まった。
「貴女の御名前を伺っても良いかしら!?ごめんなさいね私旦那様……いえ、ユリウス様目当ての為に屋敷で働いているメイド達の名前は覚えて居ないの」
「……」
メイドは「ユリウス目当て」と聞き何も言えずにいた。
「ごめんなさい、嫌な言い方をしたと思うけど御名前まだ聞いて居ませんでしたわね」
「…あっ、申し訳御座いません奥様…ミザリーと申します」
「ミザリーさんね…先ほど私に何か御話しが在ったのではないかと思い残って貰いましたが……どうですの?」
「……あ」
メイドはユリーナ母さんの前で何も話せなくなり気まずい思いで顔も見る事が出来ず下を向くだけだった。
「……旦那様の事で御話しが在るのでしょう?話して貰えますか?」
「…お、奥様……実はわたくしと旦那様は結婚の約束をしていました……」
「えっ!?」
ユリーナ母さんはメイドがユリウスと結婚の約束をしていたと聞き驚きはしたが今までユリウスが複数の女性と関係を持っていた事を知っていた為まさか屋敷のメイドにまでも手を出して居たのかと思うと驚きよりもただ呆れるという事が大きかった。
「ミザリーさん、旦那様と結婚の約束はいつなさいましたの?屋敷にいた時ですか!?」
ユリーナ母さんは冷静に成りメイドに問いかけていた。
メイドは冷静に話し方をするユリーナ母さんに驚いていた…屋敷でのユリーナ母さんはユリウスとメイド達が一緒に居る姿や話している所を嫌がりいつもメイド達に当たり散らしていた程だった
「えっ…あ……昨日旦那様の御部屋の担当に成りました時に旦那様からわたくしに結婚の申し込みをなさいまして…それで…」
「ああっ、それで総隊長様が旦那様の御部屋に貴女が居ると言って居ましたのね…それで貴女は旦那様と寝ましたの?」
「!?い、いえ、奥様その様な事は御座いません……城内ではシルビア様がいらっしゃいます……わたくしは口付けを交わしただけで御座います…」
メイドは目を閉じ下を向く事でユリーナ母さんの顔を見る事が出来なかった。
「……そう…口付けを交わすだけで良かったと思わないと、もし旦那様と関係を持ちまし身籠って居ましたら貴女は未亡人に成っていた所よ…それに城内では住めなく成って居ましたわ」
「あっ……!!」
メイドは体が震え涙目に成っていた。
例えユリウスの子供を身籠って居たとしても誰も信じてはくれない事をユリーナ母さんはメイドに話しをしていた。
そしてメイドの体をユリーナ母さんは抱き締め謝っていた。
「……ごめんなさい…旦那様の事で貴女を苦しめる事に成る何て…ミザリーさんは旦那様の事が好きでしたの?私は怒りもしませんミザリーさんの気持ちが知りたいのです」
ユリーナ母さんの問いかけに抱き締めているユリーナ母さんの体をギュッと服を握りしめ応えた。
「……好きでした…旦那様をお慕いしておりました。
わたくしはただ屋敷で旦那様のお姿と挨拶を交わして下さいますだけでも嬉しく思いました。
……旦那様と奥様が別れましたと聞き驚きましたが、シルビア様と御結婚をなさいますと聞きました時は泣きました。
でも城内で屋敷のメイドを雇う話しを聞きメイド達の噂でお妃の話しがでた時は城に向かうことを決め、運良く旦那様の御部屋係に選ばれまして、まさか旦那様が求婚の御話しをなさいますとは思いませんでした……嬉しくて…奥様には悪いと思いながらもわたくしは旦那様と一緒に成る日を夢見ておりました。
申し訳御座いません……奥様…」
メイドは話し終えると涙を流しユリーナ母さんに謝っていた。
「……貴女が謝る事は在りません…私達を残して逝ってしまいました旦那様が私達に謝るべきですわ……」
ユリーナ母さんとメイドは暫くお互い抱き締めたまま廊下の端で
立ち続けた。






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