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 ヘイデンは床に倒れたパメラに馬乗りになり、左目から血が流れているのにも構わず、左右のこぶしで、パメラの顔を殴り続けた。

 パメラは意識があるのかないのか。まわりで見ている者にも判断はつかなかったが、一切の抵抗はなく、ただ殴られるままとなっていた。

 誰も、止めなかった。止められなかった。ただただ、ヘイデンが恐ろしかった。同時に、これは現実なのだろうかと呆然ともしていた。

 いつだってヘイデンとパメラは仲睦まじく、二人共に、誰もが憧れる存在だった。噂にしたって、大多数の生徒が、半信半疑だった。

 ところが目の前の光景はどうだ。無抵抗のパメラを、ヘイデンが容赦なく殴り続けている。何よりぞっとしたのは、ヘイデンがうっすら笑みを浮かべていたことだ。

 生徒の中には、目を背ける者も、腰を抜かす者もいた。小刻みに震え、泣き出す生徒もいた。

 騒ぎを聞き付けた教師がヘイデンを止めるまで、ヘイデンはパメラを殴り続けた。そのころにはパメラの意識はなくなり、顔のかたちは、変形するほどに歪んでいた。


 すぐに国立病院へと運ばれたパメラ。幸いにも一命はとりとめたが、意識を取り戻すのに、数日を要した。目が覚めてからも常に恐怖は付きまとい、変形してしまった顔もとうてい受け入れられるものではなく、パメラはまもなく、精神を病むことになる。


 ──一方のヘイデンは。

 先にヘイデンを失明させたのはパメラとはいえ、あまりに常軌を逸した行いに、人格に問題ありとの判断がくだされた。王位継承権剥奪はむろん、王族からは存在ごとなかったことにされ、生涯を地下牢にて幽閉されることになる。

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