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おまけ 

僕の俺 1 

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 結婚式も終わり、新しく整えたアンジーの私室まで彼女を送り届けた。

「ヴァル……あとで、ね?」
「……うん、またあとで。大好きアンジー」
 
 握っていた手を名残惜しく感じながら離す。
 すぐ会えるのはわかっているけど!
 ほんの少し赤くなったアンジーがかわいい。
 めちゃくちゃかわいい。

 あとで。
 その三文字が僕には甘く聞こえた。
 アンジーが色々と準備をする間、僕も私室へ。

 お互いの私室の間に二人の寝室がある造りで、こうなっているのは両親を含めこれまで政略結婚をしてきた侯爵夫妻の名残。

 正直、僕は最近流行のすべて夫婦同室がよかったんだけど、母様に程よい距離が長続きするのよと言われてアンジーがにっこり笑ってそうしましょうと言った。
 アンジーが喜ぶなら!
 アンジーが喜ぶなら……。

 さて。
 急いで風呂に入ってイメージトレーニングをしなくては!
 




 


 僕たちの新しいベッドで、アンジーが待っている。
 そして僕はその隣の私室にいて、いつ突入するか計っている。

 あまり待たせるのもいけない。
 でも早すぎたらアンジーの心の準備ができないかも? 
 でも今日は一日疲れただろうから眠っちゃうかもしれない。

 やっぱり、今すぐに!
 でも。
 僕の心の準備がまだできていないんだ!

 夜の本でこつこつ学習済みだし、ほぼ暗記した。
 暗記したんだ。
 実戦はほぼゼロだけど知識だけは、それなりにあるはず。
 全く自信がないけど!
 
 アンジーに嫌われたくない。

 これまで抱きしめてキスすること以上のことはしていない。
 そうは言っても、大好きな女の子に触れたいし、触れたら自然と手が動いちゃうし。

 ぎゅって抱きしめた時にアンジーの柔らかな胸が僕の体に押しつぶされたら、かぁっと体温が上がる。
 男とは全然違う。
 筋肉が少ない分柔らかい。

 ほんの少し僕より低い体温も気持ちいい。
 二の腕とか。
 浮き出た背骨を指で辿るとビクッとするのもかわいい。
 全部かわいい。
 全部好き。

 思い出したら別の意味で足が進まなくなった。
 まずい。
 それは僕の脚の間で別の意識を持った『僕の俺』
 僕の中の欲望に忠実な野生の部分。
 こいつは僕の意思と別に目覚めてしまうから時々困る。

 アンジーとキスを交わせば俺を忘れるなとでも言うように。
 そんな時はそうっと、アンジーから体を離すのだけど。
 夜になって彼女のかわいさ、やわらかさを思い出して暴発することだってあった。
 事故処理……いや、自己処理大事。


 そばで控えていた従者が、一度スッキリされたほうが、とかなんとかボソボソと……それは僕に先達としてアドバイスをしてくれている?

 そう言えば夜の本にも、あまり早く終わってしまうのは好ましくないと書いてあった。
 うん、しかたない。

「……汗を流してから向かう」

 風呂入ったばかりだけどね?
 風呂上りも汗かくもんね。
 アンジーが眠ってませんように!
 

 





******


 すみません、この調子で進みます。
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