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私達の親友

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「それにしても、今日はお泊まりの初っ端からビックリする事ばかりだなぁ。
 トモがカテキョで来れないのが可哀想ってくらい、今この瞬間が楽しくてたまんない♪」

 少し間を置いて、真澄がしみじみとそう言い出した。

「へ?」
「だって、呼び名の件もそうだけど、亮輔くんがこんなに甘いもの好きだったなんて知らなかったもの」

 私が顔をあげると、真澄はりょーくんの顔をジッと見つめながらそう言ってて

「子どもの頃はそこまでじゃなかったんだけど、中学から甘いもの好きになってきたんだ。初恋の人に喜んでもらいたくて周辺のスイーツショップやケーキ屋行きまくってたから」

 と、私にも話してなかったエピソードをりょーくんは語り出す。

「初恋の人って皐月さつきさん?」
「うん、少食ですっごく痩せててさ。甘いものってカロリー高いだろ? だから一口や二口で先生の体を癒やせたらって思って。
 あと、スイーツ食べてる時の先生の顔も好きだったから」
「「……」」

 りょーくんのその話に私だけでなく真澄まで黙り込む。
 
 確かに一度だけ会った皐月さんはスラッと細い腕や脚をしていて、亡くなった直後の皐月さんはその半分も無かったんじゃないかってくらいに細かったと夕紀さんやお父さんから聞いていた。
 だからこそりょーくんの証言が痛々しく感じるし、真澄も私達2人の表情で何かしらを読み取った筈だ。

「先生が亡くなった後も……なんだかんだ俺も甘いのに癒されたくなって、良く買いに行って食べて。そしたら色んな店のスイーツに詳しくなっちゃったっていうか」
「りょーくん……」
「亮輔くんごめん。まさかそんな深い理由があったなんて思ってもみなくて」
「いや、俺も悪いよ。いきなりこんな暗い理由を話しちゃってさ。
 でも今は純粋にスイーツ好きなんだよ。時々先生のお墓参りに持って行ってちょっとの時間だけお供えしたりして自分の気持ちを解消するのも、今や半分楽しんでるっていうか」
「そういう事もしてたんだねりょーくん」
「本当に半分楽しみながらな感じだよ? 並んで買った限定のスイーツを買えた時にちょこっと寄って『先生買えたよーいいだろー♪』って見せびらかして自慢する感じ」

 皐月さんとの関わり合いについては、9月末に藤井くんのアパートへ遊びに行った際にりょーくんが全てを話した。
 真澄と藤井くんに、自分の過去を最初から最後まで偽りなく話したというハードルを越えたからこそ今こうして私達に過去の話をサラッと話してくれるんだと知ると、今まで以上にりょーくんの事を愛おしく感じられる。

「スイーツは亮輔くんにとって、初恋の味なのね」

 そしてそれを茶化す事なく、真面目に聞いて受け止めてくれた真澄にも好感を得るし

「そういう事になるのかなぁ……」
「それでっ! スイーツの味を引き立てるコーヒーは今の恋の味って事ね♡ 亮輔くんっ♪」
「それは確実にいえる! コーヒーはあーちゃんそのものっていうか、今の俺にとってなくてはならないものだしっ!!」

 「コーヒーは今の恋の味」と、話をまとめた真澄の言葉のチョイスにも助けられた。
 
「やぁん……りょーくん言い過ぎだよぉ」
「そうかな?俺、結構真面目だよ」
「ふふっ♡」

 それから3人で微笑みあって、ほのぼのとしたおやつタイムを心ゆくまで過ごした。

 
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