勇者と聖女の蕎麦食堂
以前の作品「勇者ですが、聖女とだけ会話ができません」の番外編です。この話だけでも楽しんでいただける構成になっています。
魔王を倒してから数年。
日本人の元勇者・真田蓮は、フランス人の元聖女クレールと結婚し、娘リナと息子ルイに囲まれて平穏に暮らしていた。
ある日、蓮は王都の市場で故郷の蕎麦によく似た穀物を見つける。懐かしい味を再現しようと蕎麦を打つ蓮。その隣でクレールは、同じ蕎麦粉を使ってフランスの郷土料理ガレットを作り始める。
「蕎麦の方がうまい」
「ガレットでしょう」
夫婦の小さな張り合いから始まったのは、王都の片隅にある小さな食堂。
看板娘として活躍するリナ、味見ばかりしているルイ。さらに、かつて共に魔王を討った賢者シポと剣聖アウリまで常連となり、店は少しずつ賑わっていく。
蕎麦派とガレット派の争い、国王の突然の来店、蕎麦粉不足。そして夫婦は、違う料理、違う文化を無理に一つにする必要などないのだと気づいていく。
かつて言葉すら通じなかった勇者と聖女が、今度は同じ厨房に立つ。
世界を救ったその後に始まった、家族と仲間たちの少し騒がしくて温かな食堂物語。
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