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37話 マリアンヌside
しおりを挟む元お父様が部屋から追い出されて、すぐに
「ハルト様、申し訳ございません」
と謝罪しました。
まさか自分の父親が、あんなにも常識がないとは思いませんでしたわ。
するとハルト様は
「マリアンヌが謝ることは何もないよ」
と優しく微笑んでくれた後に
「まぁ、マリアンヌがあの親に似なくて良かったなぁって心の底から思っているけどね」
「それは私もですわ」
本当にそう思いますわ。
多分、王太子の婚約者じゃなかったら私もお父様と同じような考えをしていたかもしれません。
婚約破棄されましたが、王太子の婚約者で良かったなと思います。
まぁ、それ以外は何も良いことなんてありませんでしたけどね。
そう思っているとハルト様は
「さて、これで全て片付いたかな。多分今頃、馬車の中で騒いでいるだろうね」
とクスクス笑っていますが、
「はい......申し訳ないですわ」
私からしたら、物凄く申し訳ないです。
あの人が大人しく馬車に乗っている、なんてことが出来るとは思いませんし、なんなら脱走するんじゃないでしょうか?
もう家に到着するまで眠っていて欲しいですわ。
そう思っていると
「ところでマリアンヌ」
ハルト様が急に真面目な顔をして私を見つめてきました。
どうしたんでしょう?と首を傾げていると
「俺と結婚してくれないか?」
「えっ!?」
もしかして、いや、もしかしなくてもプロポーズですわよね......?
あまりにも急な出来事に驚いてしまって固まっていると
「嫌かな?」
ハルト様は不安そうな顔でそう尋ねてきました。
なので
「い、いえ!ただ急な話で驚いてしまって........。婚約の発表をしたばかりですし.....」
えっと....発表してこんな早くに結婚しても良いんでしょうか?
後1年くらいは王妃教育などを受けると思っていたんですが........。
そう思っていると
「全部終わったら言おうってずっと思っていたんだ」
とハルト様が言ったので
「その.......ハルト様のお父様達や貴族の方々は大丈夫なんでしょうか?」
とにかく一番気になるのはそれですわ。
一応、王妃になるんですし、何も勉強していない私が認めてもらう機会なんてなかったはずです。
するとハルト様は、なるほど、と少し考えた後に
「気付いてなかったかもしれないけど、王宮に遊びに来ていたとき、マリアンヌは王妃として相応しいか確認されていたよ」
「え........」
ど、どういうことでしょう?
私は王妃様かハルト様とお茶を飲むことくらいしかしていませんが.......。
しかもお茶の準備はメイドさん達がやってくれていましたし、私はただ王妃様とお話をしていただけですよ?
そう思いながら首を傾げていると
「母上とのお茶会のとき、話の内容が変に難しいことばかりじゃなかった?」
「確かに.....しかも国のことばかり話をしていた気がします」
それに、一回だけですが、王妃には何が大切だと思う?と聞かれたことがあります。
もしかして、それも王妃になる資格があるのか、と試していたんでしょうか?
全く気付きませんでしたわ........。
「母上はマリアンヌなら喜んで迎え入れたいと言ってくれているし、父上もその話を聞いて納得してくれたよ」
「そうだったんですの.......でも他の貴族の方々は....」
「皆マリアンヌが優秀だって話は知っているからね。賛成してくれたよ」
いつの間にそこまで話が進んでいたんですか.......。
ですが、それを聞いて安心しました。
そう思っていると
「どうかな?俺と結婚してくれますか?」
答えはわかっているはずなのに、不安げな顔をしながら私にそう聞いてきたので
「はい......よろしくお願いしますわ」
そう言って、ハルト様に抱き着きました。
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