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2、少し歳上の‥
しおりを挟むメディチ王国のお城では、今日も王子二人と令嬢二人が二階で遊んでいました。
「ねぇ、レミー。その可愛い髪飾り、初めて見るわね。どうしたの?‥もしかして男の子からのプレゼントかしら。」
「‥‥フフフ、あとでルビーさんにだけ教えますね。」
「ええ、いいわ。後で二人でお茶しながらゆっくり聞かせて頂くわ。」
お城で四人で遊ぶようになって、何ヶ月か経つ頃、ルビーさんと私はいつの間にかとても仲良しになっていました。
最近の私は、ルビーさんと二人でお洒落の話や流行りの恋愛物語の話をするのが楽しみで、お城へ行く日が待ち遠しくなる程でした。
王子二人は、相変わらず私とルビーさんの会話を邪魔しにきては、ルビーさんだけを二人してどこかへ連れて行ってしまうのですが‥。
そして今日も一人ぼっちになってしまった私は、お城の図書室へと向かうのでした。
‥‥ですが、今日は気分を変えて庭へ出てみる事にしました。庭に可愛い小鳥が飛んでいるのを見かけたからです。
「あっ、いた。待って~。」
私は小鳥を追って行くうちに、いつの間にか庭の迷路の中に迷い込んでしまいました。
「‥やだ、どうしよう。」
「ね、困ったね。お嬢さん。」
迷路の中に一人で迷い込んでしまったのかと思って、心細くて泣きそうになっていたら、隣に素敵なお兄様が立っていました。
「‥あっ、あなたも小鳥を追ってここまで来てしまったの?」
「アハハ、違うよ。僕は君を追ってきたんだ。君が鳥を追って迷路に入るのが見えたからね。絶対迷子になると思って、助けにきたわけ。」
「‥ありがとう。あっ、ところでお兄さんは誰?」
「うーん、‥何て言えば分かるのかなぁ。」
「‥‥うん。」
「‥‥僕は、君の国よりも大国の貴族なんだ。‥あんまり詳しくは言えないけどね。」
「うん、分かった。」
「‥それにしても君可愛いなぁ。」
「‥そんな事ないですよ。だって私、少しぽっちゃりしてるから‥。」
「君ぐらいの年齢の子にしたら、それぐらい普通じゃないのか。それに君は‥その歳でもう胸が膨らんでるなんて、何ていやらしくて可愛いんだ。‥どうしよう、拐って行っちゃおうかな‥。」
オホン、
「駄目ですよ!ハインリヒ様!」
「‥‥!」
「‥あっ、驚かないで。こいつね、僕の護衛なんだ。見た目はイカついけど、優しいから。」
「‥この国の令嬢を拐っては駄目です。両国の友好をぶち壊さないで下さい。」
「‥うーん、どうしよう。じゃあさ、僕が時々君に会いに来るよ。毎回国境線を越えてね。フフフ、ロマンチックだよね~。‥でさぁ、君が大きくなったらあらためて求婚するよ。」
「‥えっ、それは‥‥。」
「ええ?嫌なんだ‥悲しいなぁ。」
「‥嫌と言うより、実は私‥。んっ!んんっ‥‥。」
私はいきなり見知らぬお兄さんに唇を奪われてしまいました。
「キスするの初めてだった?‥初めてのキスが僕とだなんて、君可哀想になぁ。僕のキス上手だから、他の男とのキスじゃ満足できなくなっちゃうかもね。」
「‥‥なっ、何するんですか!私、キスして良いって言いましたか?」
「えっ、今時キスしていい?なんて聞く男いるかなぁ。堅苦しくて、ムードなくない?」
「‥お兄さん、チャラいです!私、チャラい人苦手です。」
「ヘぇ~、苦手なんだ。‥本当に?君、顔が真っ赤だよ。本当は強引に迫られるのが好きなんだろ?」
オホン、
「ハインリヒ様、くれぐれも両国の友好関係にひびを入れないで下さいよ。‥まったく、子供相手に何をやってるんですか!」
「ハハ、確かにまだ子供だな。‥君、早く大きくなれよ。」
「‥‥。」
「あっ、最後に君の名を教えてよ。」
「レミーです。レミー・ローズです。」
「覚えておくよ。‥じゃあ、僕はそろそろ帰るよ。」
「あっ、‥迷路の外までお見送りします。」
「アハハ、そうだった。迷子の君を置いて行くところだったよ。」
「‥やっぱり!」
「じゃあレミー、お見送りを頼むよ。」
そう言って、ハインリヒ様は私の手を握り、迷路の外まで連れ出してくれました。
「じゃあレミー、またね。」
「ありがとうございます。ハインリヒ様。」
私は、何度も振り返っては手を振ってくれるハインリヒ様を、そのお姿が見えなくなるまでずっとお見送りしました。
ハインリヒ様は、チャラい中にも優しさがあり、とても素敵なお兄様でした。
私は何故かハインリヒ様にまた会いたいな、と思ってしまいました。
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