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17 ファビアンの作戦※
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「セルジュ! 聖国マイズと戦争が始まったって本当なのか?」
翌日、重い腰に耐えながら騎士団長を捕まえると、開口一番問い詰めた。
騎士団長のセルジュは苦み走った渋い顔の三十路で、明るい茶髪をぴっちりと後ろにひとつで結んでいる、いつも厳しい顔をしている男性だ。
俺が何を言っても笑わないので、ちょっぴり苦手としている。何でも新婚早々に奥さんを病気で亡くしたとかで、以来誰に誘われても操を立てて靡かないんだとか。
ロイクが騎士団に俺を入れた意味が、何だかその変にありそうでモヤモヤする。
だけど今はそれよりも、聖国マイズとの戦争についてだ。
「はい、事実ですが」
低い声で淡々と返されたけど、俺はめげなかった。
「ですがじゃないよ! どうして俺に声が掛からないんだ!?」
「は?」
セルジュが片眉を上げる。
「俺は四英傑のひとり、剣聖だぞ! 俺が前線に出たら、向こうだって困るだろ!」
「いや、ですがファビアン様は特別顧問でございますし、前線へは……」
セルジュが言い淀む。俺はキッと睨みつけると、セルジュに命令した。
「オリヴィアを奪い返そうとしているんだろ? だったら仲間の俺が助けてやらずにどうするんだよ!」
「ファビアン様……っ」
セルジュが、感心した様子で目を瞠る。勿論、俺は本音じゃそんなことは思っていない。オリヴィアは見た目は儚いけど、やる時はとことんやる女だ。しおらしく困って泣くなんてことはあり得ない。
「国王陛下に、剣聖が仲間の為に聖国と戦うと言っていると伝えろ! このまま俺を飼い殺しにしていたら、国民の反感も買うだろ!」
「ファビアン様、そんなことまでこの国の為に……!」
セルジュはいたく感激したらしく、深く頷くと「必ずや許可を勝ち取って参ります!」と敬礼して走り去っていった。
「――よし、こっちはこれでいいかな?」
セルジュの筋肉質な後ろ姿を見送ると、俺は団長室から出、もうひとり伝えるべき人の元に向かった。
家族との別れや旅支度があるからと、出立の日まで非番となった男の所だ。
気配を隠しながら、兵舎の奥へと進んでいく。誰にも見られていないことを確認すると、今日の早朝にこそっと出ていったばかりの部屋の扉を小さく叩いた。
「……アルバン? 起きてるか?」
「――ファビアン!? え、どうしたの?」
「とりあえず入れてよ」
「それは勿論だけど……」
眠そうな顔で不思議そうに首を傾げるアルバンを見て、ニカッと歯を見せて笑う。
「まあまあ、ちょっと聞いてよ」
「え? う、うん」
扉の鍵を閉めて、アルバンを今朝まで散々まぐわった寝台に座らせる。俺も寝台に乗って胡座を掻くと、戸惑っているアルバンに向かって言った。
「アルバン、俺も前線に行く!」
「――は?」
ポカンとするアルバンの顔が、可愛くて仕方ない。俺、アルバンのことがかなり好きかも。相変わらず戸惑い顔のアルバンににじり寄っていった。
「だって俺剣聖だよ? 滅茶苦茶強いよ? そりゃあ人間はまだ斬ったことないけど、俺がいるといないとじゃ絶対違うだろ?」
「や、そりゃそうだろうけどさ……」
「え? まさか反対なのか?」
口を尖らせると、アルバンが信じられないといった目で俺を見つめる。
「ファビアン……まさか、俺を助ける為……?」
「あったり前だろ! 俺、アルバンを死なせたくないもんな!」
「ファビアン……信じられない……っ」
なんで小刻みに震えて涙目になっているんだろう。俺は膝立ちすると、昨日したみたいにアルバンの頭を抱き寄せた。ちょっと汗臭い頭に、キュンとする。
「……俺、アルバンとこの先も一緒にいたいよ」
「嘘……! 俺、昨晩のことだけだとばっかり……!」
一夜の情けをかけられたと思ったらしい。俺はアルバンの膝の上に跨ってトスンと座ると、首に腕を巻いたままアルバンを軽く睨んだ。
「嘘じゃないぞ。何だったら今からまた抱くか?」
それとももう枯れて出ない? 揶揄うように囁くと、真っ赤な顔をしたアルバンがごくんと唾を呑み込む音が響く。
服越しに触れ合う股間が、じわじわと勃ち上がっていっていた。そこにすりすりと腰を押し付けると、アルバンは愛おしそうな目で俺を見つめ、ほわりと微笑む。
「……抱く」
「よく言った!」
俺はそのままアルバンを押し倒すと、いそいそと下穿きを脱ぎ始めた。目を白黒させているアルバンの服も強引に下ろすと、ブルンと元気な雄が飛び出す。
騎乗位っていうのは、やったことがない。俺からシようとロイクに言ったのは、拒絶されたあの一回だけだったから。基本ロイクはあいつの抱きたいように俺を抱いた。俺にどうしたいかなんて、一度も聞いちゃこなかった。
「上に乗ってするの、初めてなんだ。下手くそだったらごめんね」
「初めて……? うわ、嬉しい……!」
アルバンのガチガチの雄を掴むと、俺のケツの穴に誘導する。今朝まで繋がっていたから、俺の穴はぷちゅりとあっさり飲み込んだ。
「ああ……ッ」
ゾワゾワと快感が上がってくる。足の筋力を使ってゆっくりと上下すると、気持ちよくて腿がブルブル震え始めた。
「これ、やばいね」
エヘヘと笑うと、いつの間にか完全に雄の目になっていたアルバンがグッと奥歯を噛み締め、俺の腰をガシッと掴む。
「ファビアン、煽るのうますぎ」
「だってアルバンの滅茶苦茶気持ちい……んおっ」
ずん! と勢いよく下から突かれ、脳天まで痺れが走った。は、と舌を出しながら喘ぐと、アルバンが笑いながら言う。
「ほら、頑張って動いてよ、剣聖様」
「くっそー! 負けねえ!」
俺が上下に動くと、アルバンが時折唐突に下から突き上げてきたりして、最高にエロくて楽しい時間が始まった。
息を切らしながら散々動いていると、やがて俺に限界が訪れる。
「あ――……ッ」
ビュク、とアルバンの固い腹筋の上に、俺のものを先に出した。アルバンは「自分ばっかり」と笑いながら俺をひっくり返すと、イッたばかりでぐてんとなっている俺を激しく攻め始める。
「あっイッたばっか! や、あ、あああん……ッ!」
「ファビアン、好きだ、愛してる……!」
「アルバン、俺もアルバンが大好き……!」
「ファビアン!」
ズン! と最奥まで差し込まれた直後、熱いものが俺の体内に広がっていった。はあー、はあー、と荒い息を繰り返すアルバンの汗だくの身体に抱きつく。
「アルバン、口づけして」
「うん、……ブフッ」
ねだっておいて俺は自分からアルバンの口に吸い付いた俺は、心ゆくままアルバンの熱を堪能することにしたのだった。
翌日、重い腰に耐えながら騎士団長を捕まえると、開口一番問い詰めた。
騎士団長のセルジュは苦み走った渋い顔の三十路で、明るい茶髪をぴっちりと後ろにひとつで結んでいる、いつも厳しい顔をしている男性だ。
俺が何を言っても笑わないので、ちょっぴり苦手としている。何でも新婚早々に奥さんを病気で亡くしたとかで、以来誰に誘われても操を立てて靡かないんだとか。
ロイクが騎士団に俺を入れた意味が、何だかその変にありそうでモヤモヤする。
だけど今はそれよりも、聖国マイズとの戦争についてだ。
「はい、事実ですが」
低い声で淡々と返されたけど、俺はめげなかった。
「ですがじゃないよ! どうして俺に声が掛からないんだ!?」
「は?」
セルジュが片眉を上げる。
「俺は四英傑のひとり、剣聖だぞ! 俺が前線に出たら、向こうだって困るだろ!」
「いや、ですがファビアン様は特別顧問でございますし、前線へは……」
セルジュが言い淀む。俺はキッと睨みつけると、セルジュに命令した。
「オリヴィアを奪い返そうとしているんだろ? だったら仲間の俺が助けてやらずにどうするんだよ!」
「ファビアン様……っ」
セルジュが、感心した様子で目を瞠る。勿論、俺は本音じゃそんなことは思っていない。オリヴィアは見た目は儚いけど、やる時はとことんやる女だ。しおらしく困って泣くなんてことはあり得ない。
「国王陛下に、剣聖が仲間の為に聖国と戦うと言っていると伝えろ! このまま俺を飼い殺しにしていたら、国民の反感も買うだろ!」
「ファビアン様、そんなことまでこの国の為に……!」
セルジュはいたく感激したらしく、深く頷くと「必ずや許可を勝ち取って参ります!」と敬礼して走り去っていった。
「――よし、こっちはこれでいいかな?」
セルジュの筋肉質な後ろ姿を見送ると、俺は団長室から出、もうひとり伝えるべき人の元に向かった。
家族との別れや旅支度があるからと、出立の日まで非番となった男の所だ。
気配を隠しながら、兵舎の奥へと進んでいく。誰にも見られていないことを確認すると、今日の早朝にこそっと出ていったばかりの部屋の扉を小さく叩いた。
「……アルバン? 起きてるか?」
「――ファビアン!? え、どうしたの?」
「とりあえず入れてよ」
「それは勿論だけど……」
眠そうな顔で不思議そうに首を傾げるアルバンを見て、ニカッと歯を見せて笑う。
「まあまあ、ちょっと聞いてよ」
「え? う、うん」
扉の鍵を閉めて、アルバンを今朝まで散々まぐわった寝台に座らせる。俺も寝台に乗って胡座を掻くと、戸惑っているアルバンに向かって言った。
「アルバン、俺も前線に行く!」
「――は?」
ポカンとするアルバンの顔が、可愛くて仕方ない。俺、アルバンのことがかなり好きかも。相変わらず戸惑い顔のアルバンににじり寄っていった。
「だって俺剣聖だよ? 滅茶苦茶強いよ? そりゃあ人間はまだ斬ったことないけど、俺がいるといないとじゃ絶対違うだろ?」
「や、そりゃそうだろうけどさ……」
「え? まさか反対なのか?」
口を尖らせると、アルバンが信じられないといった目で俺を見つめる。
「ファビアン……まさか、俺を助ける為……?」
「あったり前だろ! 俺、アルバンを死なせたくないもんな!」
「ファビアン……信じられない……っ」
なんで小刻みに震えて涙目になっているんだろう。俺は膝立ちすると、昨日したみたいにアルバンの頭を抱き寄せた。ちょっと汗臭い頭に、キュンとする。
「……俺、アルバンとこの先も一緒にいたいよ」
「嘘……! 俺、昨晩のことだけだとばっかり……!」
一夜の情けをかけられたと思ったらしい。俺はアルバンの膝の上に跨ってトスンと座ると、首に腕を巻いたままアルバンを軽く睨んだ。
「嘘じゃないぞ。何だったら今からまた抱くか?」
それとももう枯れて出ない? 揶揄うように囁くと、真っ赤な顔をしたアルバンがごくんと唾を呑み込む音が響く。
服越しに触れ合う股間が、じわじわと勃ち上がっていっていた。そこにすりすりと腰を押し付けると、アルバンは愛おしそうな目で俺を見つめ、ほわりと微笑む。
「……抱く」
「よく言った!」
俺はそのままアルバンを押し倒すと、いそいそと下穿きを脱ぎ始めた。目を白黒させているアルバンの服も強引に下ろすと、ブルンと元気な雄が飛び出す。
騎乗位っていうのは、やったことがない。俺からシようとロイクに言ったのは、拒絶されたあの一回だけだったから。基本ロイクはあいつの抱きたいように俺を抱いた。俺にどうしたいかなんて、一度も聞いちゃこなかった。
「上に乗ってするの、初めてなんだ。下手くそだったらごめんね」
「初めて……? うわ、嬉しい……!」
アルバンのガチガチの雄を掴むと、俺のケツの穴に誘導する。今朝まで繋がっていたから、俺の穴はぷちゅりとあっさり飲み込んだ。
「ああ……ッ」
ゾワゾワと快感が上がってくる。足の筋力を使ってゆっくりと上下すると、気持ちよくて腿がブルブル震え始めた。
「これ、やばいね」
エヘヘと笑うと、いつの間にか完全に雄の目になっていたアルバンがグッと奥歯を噛み締め、俺の腰をガシッと掴む。
「ファビアン、煽るのうますぎ」
「だってアルバンの滅茶苦茶気持ちい……んおっ」
ずん! と勢いよく下から突かれ、脳天まで痺れが走った。は、と舌を出しながら喘ぐと、アルバンが笑いながら言う。
「ほら、頑張って動いてよ、剣聖様」
「くっそー! 負けねえ!」
俺が上下に動くと、アルバンが時折唐突に下から突き上げてきたりして、最高にエロくて楽しい時間が始まった。
息を切らしながら散々動いていると、やがて俺に限界が訪れる。
「あ――……ッ」
ビュク、とアルバンの固い腹筋の上に、俺のものを先に出した。アルバンは「自分ばっかり」と笑いながら俺をひっくり返すと、イッたばかりでぐてんとなっている俺を激しく攻め始める。
「あっイッたばっか! や、あ、あああん……ッ!」
「ファビアン、好きだ、愛してる……!」
「アルバン、俺もアルバンが大好き……!」
「ファビアン!」
ズン! と最奥まで差し込まれた直後、熱いものが俺の体内に広がっていった。はあー、はあー、と荒い息を繰り返すアルバンの汗だくの身体に抱きつく。
「アルバン、口づけして」
「うん、……ブフッ」
ねだっておいて俺は自分からアルバンの口に吸い付いた俺は、心ゆくままアルバンの熱を堪能することにしたのだった。
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