愛する君を消す ~ 君を救えた瞬間、君への愛だけが、消えた
クリスマスイブの交差点で、恋人は車に轢かれて死んだ。
僕は、二人で訪れた古い神社に駆け込んで祈る。たとえ自分の中から、彼女への愛のすべてが消えてしまっても構わない。だから――どうか、彼女を返してください。
そして、時間が、巻き戻る。
桜の散る四月、大学図書館で同じ本に手を伸ばしたところから、一つの恋が始まった。声をかけたのは、いつも彼女からだった。よく笑い、よく喋り、自分から踏み込んでくる彼女の前でだけ、近寄りがたい僕の動作の角は取れた。
夏祭りの夜、彼女は祖母から聞いた古い言い伝えを口にした。
――愛する者を運命から取り戻すには、二つの心から、その者の面影を消し去るしかない。
そのときは、二人とも、深くは考えなかった。
これは、愛する君を消すことでしか君を救えなかった、二人の物語。
僕は、二人で訪れた古い神社に駆け込んで祈る。たとえ自分の中から、彼女への愛のすべてが消えてしまっても構わない。だから――どうか、彼女を返してください。
そして、時間が、巻き戻る。
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――愛する者を運命から取り戻すには、二つの心から、その者の面影を消し去るしかない。
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